シルバー・ラビリンス
ちょっとエコーのかかった声はこう続けた。
“ここへおいでよ。”
「遊ぼう……ここへ、おいでよ……って、どういうことよ?」
そんなこと言われても、という感想しか出てこない。そりゃそうよね、私にはその声の持ち主の姿が見えていないんだから。それに、その声がどこから聞こえてきているかも正直よく分かっていないし。
私の疑問には答えてくれず、声はさらに言った。
“わたしのおうちにしょうたいしてあげる。”
この台詞、どこかで聞いたことある。そう、まだ私が小さい頃に、母さんが話してくれた昔話に、そんな台詞があった気がする。どんな話だったかはうろ覚えなんだけど、でもとりあえず、ちょっと怖い話だったことは覚えてる。
後に続いたその声で、私はその記憶を呼び起こさなければならなくなった。
“――ようこそ、銀の迷宮(シルバー・ラビリンス)へ!”
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ