シルバー・ラビリンス
とにかく、この部屋から出てみることにした。
飾り気のない扉の前に向かい、ノブに手を伸ばすと――
「ちょっと、カンタール!」
突然扉が開いて、思い切り額を打ち付けてしまった。冗談抜きで痛いわね、これ。よく考えたら、幻の中なのに痛み感じるのね。
そんなことをした犯人は、シルバー・レミーラ。シューサイドと違って、こっちは腐れ縁ね。
「何するのよレミーラ、死にかけたじゃない!」
「いいじゃない、いっそのこと死んどけばいいのよ!」
最近になって、レミーラってツンデレだったんだなぁと理解できるようになったのはまた別の話ね。
「……あれ?カンタールったら、一晩でだいぶ老けたわね。まさか、ロバートのこともう聞いてたの?」
なんだか聞き捨てならない言葉が聞こえたような気もするけど、レミーラから夫の名前が出てきたことのほうが気になる。
「ロバートのことって?」
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ