シルバー・ラビリンス
せっかくだから、フォトフレームを取り出してみた。今私が住んでいる家にあるものよりずっとずっと新しい姿で、間違いなく入っていた。ローラの写真も、私とロバートの写真も、きれいな発色で存在していた。
幻とはいえ、なんだかちょっと嬉しかった。
確かに、これは迷宮の中を語ることはできないわね。だって、この部屋は私にしか特別じゃない。例えば夫のロバートにとっても、娘のローラにとっても、大親友のシルバー・シューサイドにとっても。
おそらくは、人によって迷宮の内容が変わる。私の部屋のどこが迷宮だか知らないけど、とりあえず変わるんだろう、と。
さて、当時の私の部屋であることは分かった。じゃあ、今から何をすればいいわけ?
気が付けば目覚まし時計の針は10分も進んでいた。
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ