シルバー・ラビリンス
「知らないの?」
いつもなら「へー、カンタールったら知らないんだ、遅れてるー。」とか言うはずのレミーラだけど――その態度が私限定、というのも後で知った話――どうやらそんな場合じゃないみたい。すごくあわてた様子で、一気にまくし立てた。
「ロバートが平野の攻め込みに駆り出されるって、聞いてないの!?」
瞬間、私の全てがフリーズした。
今日は、あの日だ。
ロバートが私の隣から消えた日。一家3人の幸せが崩れ去った、あの日。
あの時、ロバートを止めることができていれば。
できていれば、今も私の隣にロバートも、ローラもいたはずなのに。
そしてなるほど、納得した。
この幻「銀の迷宮(シルバー・ラビリンス)」は、幻をかけられたシルバーの、心の中にある「迷い」を具現し、見せているのだと。
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ