psychedelic
〆
「僕の血はチョコレートで出来てるのかもしれない」
サイは一口サイズのチョコレートがたくさん詰まった袋を両手で開けると中身をばらばらと床にぶちまけた。
そうして無造作に一つを掴み包みを開けて口の中に放り込む。
もぐもぐとチョコレートを噛み砕くと次の包みに手を伸ばした。
その手にはすっと長く赤い血の跡が残っている。
手首から流れた血液が手の平を這い、指の間へ潜り、爪の先までを赤く染める。
サイは血塗れの指で次々とチョコレートの包みを開けて貪っていく。
サイの放り投げたチョコレートの包みが床に広がった血溜りの中に落ちた。
一心不乱にチョコレートを咀嚼するサイを見ながら俺は少しだけ目眩を覚えてバックから新しいチョコレートの袋を取り出した。
「ありがとう」
綺麗なサイは俺を見上げて笑う。
涙の跡が残る頬に輝く銀髪が張り付いている。
指を伸ばして髪を払ってやるとサイは少し首を傾げた。
やっぱりサイはとても綺麗だ。
作品名:psychedelic 作家名:相原ちひろ