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文殊(もんじゅ)
文殊(もんじゅ)
novelistID. 635
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とある学校の委員会は!

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三時間目 生徒会の憂鬱、後晴れ



―僕たちが弱いんじゃない、彼らが奇天烈なんだよ。―

「ところで、今度の体育大会にたいそう迷惑な話が出ているのを知っているかな?」
生徒会長武田 誠が発したその一言に、他のメンバーは首を傾げた。
「会長、意志疎通を行う場合にはその前提が必要ですよ」
などと若干的外れな指摘を副会長の水野がするが、大した効果はないようである。
就任した頃の元気はどうした、と言われんばかりの衰退っぷりだ。
頭を抱えて「信じられない……」と呟いている。
「会長、俺ら全く話通じないんですけどー」
苦笑しながら詳細を求める書記の声に、憂鬱そうな顔をあげて一言。

「体育祭に、体育委員が参戦するって……」

「……おやおや」
冷静さの塊のような水野が動揺したのか、持っていたプリントを真っ二つにした。
「え!?」
聞いたのが自分であることも忘れたいような顔をして、書記の朝倉が笑顔のまま聞き返す。
その横で小さな体を震わせながら、会計の古賀 奈緒美が首を振る。
全身で『嘘だと言ってくれ』と訴えているようだ。


「本当なんだよっ。もう、どうしたら……!」


再度頭を抱えながら青ざめた顔で、武田が残酷な現実を告げる。
「そりゃぁ僕だって『勘弁してください』って頭下げたさ、なのに……!」
武田の脳裏に思い返されるのは、とても良い笑顔をしている体育委員長だ。

「た、頼むよ……勘弁してくれ! 君たちが参戦だなんて勝者は決まったようなもんじゃないか!」
各学級からのクレームだけじゃない、各方面に頭を下げ続けなければならない。
ましてや体育大会の優勝チームには伝統的に、ある賞品が与えられるのだ。
どんな年度のどんな予算委員長でも捻出してくれる、『金一封』である。
今年度の予算委員長が、絶対に良い顔をしない。
それどころか、自分たちも委員会で参戦すると言い出しかねない。
「んー、でもなぁー」
「な、なにか重要な理由でもあるのかい?」
とりあえず聞こうじゃないか、と顔を上げると豪快に笑いながら矢動丸は言った。

「出たいから出るんだ!」

それだけ?
聞くのさえはばかられるような思い切りのよさである。
その思い切りのよさに、聞こうとしている武田自身が間違っているような思いに駆られた。
「大体、体育委員が審判しなくったってセルフで大丈夫だ!」
「いやいや、そんなことは、ないよ!?」