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文殊(もんじゅ)
文殊(もんじゅ)
novelistID. 635
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とある学校の委員会は!

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そんなに寝れないのか、と背筋を震わせながら口を開く。

「数え始め、で選んだんですか……?」

何だか色々と通り越して、頭に浮かんだ質問をしてしまった。
きつめの印象の目が少し見開かれる。
それはすぐに戻って、加計本は肩を震わせながら答えた。
「いや……それはない」
笑いごとではない、と思ってるのは犠牲になった本人ばかりである。
「数字の入ってる奴でいいか、なんて目安で見たら最初がおまえだったからな」
結局は、運がなかったわけだ。
「え……、それだけっすか?」
「数え始め」なんてギャグで選ばれるよかマシなような、そうでないような。
「それだけだ」

その後は一言も言葉を交わさずに、教室の前まで連れてこられた。
達筆な字で「予算委員会室」と書かれた半紙が、少し黄ばんでいる。
遠慮なくドアを開けた加計本を通り越して、主計は視線だけで全体を見渡した。
近くで見てないからだけかもしれないが、クマがあるのは加計本だけらしかった。
「あっと……。遅れて、すいません」
軽く頭を下げると、一番奥に座っていた男子生徒が頬笑みながら首を振った。
「良いんだよ」
「そうだぞ、俺が無理言って連れてきたのも同然だからな」
確かにそうです、とはとても言えない。

空いている席に座ると、加計本の目はいっそうきつくなった。
眉間にしわが寄って、腕組みをしている姿が仏像みたいで嫌でも背筋が伸びる。
「さて、今日は早めに切り上げたいからな」
配布した概要に目を通しながら、一年生の主計以外の生徒が絶句した表情をした。
話に聞いていた通り、というかもうそのままである。

召集がかかれば、昼飯を喰いながら会議を行い。
忙しい時には、夜の八時過ぎまで校内で活動を行い。
そのため女子は、委員会活動に参加しないという規定があり。
山場の学校祭と年度予算調整会議前は、放課後のスケジュールがびっちりであって。

なんだかとにかく、青春なんて吸い取られたも同じなのである。

「昨年度の反省ならびに報復と称し、今年は支出を抑えてやろうと思ってる」
「反省と報復?」
どこからか上がった声に加計本は頷き、話を続ける。
「昨年度委員長を務めていた先輩は、寛容な心で予算を許す方針を選んだ」
その結果、と加計本の眉間のしわはいっそう濃くなる。
「先輩はあれよあれよと胃を悪くし、学校財源は厳しくなった!」
「……」