小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
文殊(もんじゅ)
文殊(もんじゅ)
novelistID. 635
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

とある学校の委員会は!

INDEX|3ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

担任の近くに一人の男子生徒が立っている。
襟についたバッジで、二年生ということがわかった。
中くらいの背丈に、細身できつい感じの目をしている。
『あれ、俺なんかした?』
冷や汗をかきながら隣を見ると、首を振っている。
『そうだよな、知ってるわけないよな』
入学早々、あんなおっかない先輩に目をつけられたなんて。
自分にだって身に覚えがないのだから。
主計はゆっくりと起立して、短く返事をした。

必死な主計の心情も知らずに、担任は一言。
「予算委員長の加計本直々の指名だ、頼むぞ!」
そう、告げた。


「……はい?」


整理できない頭のまま、もう一度隣を見る。
だから首を振ったのに……、と言いたげな視線が向かっている。
意志疎通がうまくいかなかったらしい。
それはそうである、なんたって出会って数日の仲だ。
無言で通じあえるわけがなかったのだ。
「え、え?」
「じゃぁ、予算委員は主計 一で決定……と!」
嬉しそうに教師が、名簿に書きつづる。

周りからささやき声が聞こえてくる。
「よかった、俺じゃなくて」
「あいつ運ねぇなー」
「何だっけ名前?」
「……主計 一だってよ」
「あぁ、だからじぇねぇの」
「何、どういうこと」
「数え始め、だからだろ」
途端沸き起こる爆笑。
あまりに呆然としていて、納得も怒ることもできない。

「よし、じゃぁまた明日な」
帰りの号令を、そのまま受けて立ちすくむ。
人がほとんどいない教室の前方から、加計本が歩いてくるのを主計はぼんやりと見ていた。
「悪いな。今日くらい、さっさと委員会終わらせてやろうと思ったから」
あっさりと謝る加計本の顔を、主計が見下ろす。
威圧感にあふれた印象はたとえ自分と身長が離れていても、変わらなかった。
「じゃぁ案内すっから、ついてこいよ」
そう言って歩き出す加計本の後ろを、軽い鞄の持ち手を握り締めて歩く。
この鞄が、持ち上がらないくらい重くなってしまえば良いのに。
というか今、俺の体がこれより先に歩けなくなれば良いのに。
決まったことだが、頭の中ではくだらない逃亡の方法ばかり浮かんでくる。

そんな事ばかり考えていた中で、主計はふと思った。
「あ、あの……委員長」
委員長、と呼んだ時点で主計の負けはほぼ決定している。
後ろを振り返った加計本の目の下に、うっすらとではあるがクマが見えた。