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文殊(もんじゅ)
文殊(もんじゅ)
novelistID. 635
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とある学校の委員会は!

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「額田君それ、僕ら救われてない!」
「なにダダこねてんですか、それなりに考えだってあるし大丈夫ですよ」


「その考え、聞かせていただけますか?」
額田の言葉に水野が反応し、考えについての話を求めた。
「トーナメント戦にするんですよ、そうすれば一回戦で当たらない限り体育とはおさらばです」
「で、でも……。会長、運ないから」
「古賀君!? 僕のせいにしないでくれよ!」
奈緒美が遠慮がちな風をとりながらも「当たったら会長のせい」というイメージを定着させようとする。
「一回戦で当たらなきゃ、かー」
「しかし、放送委員ほど不運ではありませんからね」
確証がないことに不安そうな朝倉とは反対に、既に放送委員の悲劇を喜ぶ水野。
そんな中、武田が呟いた言葉が生徒会メンバーを凍りつかせる。


「でもさ、やるからには勝ちたいって思ってしまうんだよね……」


途端水野の穏やかな笑みは消え、朝倉が影で合掌をする。
奈緒美を連れて額田が生徒会室を去った直後に、水野の静かな説教が始まった。
「別に我々は、良いんですよ? 会長が、お一人で楽しまれても」
「ご、ごめ、ごめんなさい!」
「せっかく額田が気を利かせてくれたっていうのに。そうですか、会長はそんなにお一人がよろしいんですか」
土下座までして謝る生徒会長の姿とそこまで必死か、と言わんばかりに怒る副会長。
それを見て見ぬふりをする朝倉は『うちのおふくろと親父見てるみたいだ……』と思っていた。

「会長、空気読めないから……」
うちのママが怒っちゃった、と奈緒美が遠い目をしながら呟く。
その隣で、ちゃっかり飲み物まで持ってきている額田が笑う。
「そういえば、補佐さんって運動得意なんですか?」
「補佐さん言うな。まぁ、一応中学バレー部だったな」
「運動できたんだー」
「なぁ、俺のことなんだと思ってんの?」
無意識に額田の心をえぐっていることも知らずに、奈緒美は首をかしげる。
「あー、まぁいいや」
額田が予定表や何やらを取り出して、仕事を始める。
「仕事……」
奈緒美が電卓を眠そうにいじりながら、ペンを動かす。
通る生徒が思わず寒気を感じるくらいに空気の凍った生徒会室近くの階段で、二人の会話は朝倉がくるまで途切れた。
春の日差しが少し差し込んで、心地いいくらいの陽気がいい。


「ねぇ! 俺のこと放って置きすぎじゃない!?」