鬼と狐の宣戦布告
「話を続けるぞ」
あぁ、もういいや、聞くしかないじゃないか。
「あぁ、分かったよ」
俺はそう言って九尾の話に耳を傾けた。
「うむ、まず前段にも話したが、わらわを助けてほしいと言ったのには訳があ
る......なんじゃ......その......わらわは随分と前から狩
人に命を狙われてての」
「九尾の狐なのにか?」
そんな奴いるのだろうか。
伝説上の妖孤。最強で最恐で最凶の妖孤。
こんな奴を相手にする奴はいるのだろうか。
「九尾だからじゃよ、うぬよ」
九尾、だから。
九尾だからこそ狙われるのか。
生きとし生ける妖孤の最強の霊力・神通力を求めて。
でも、もしそうだとしても、その『狩人』と言うやつは頭が逝ってる。
何で自分にないものを、そこまで......手が届かないようなところまで
求めるんだろう。
やはり、皆同じ、ない物ねだりなんだろうか。
いや、でも待てよ......
「その狩人って誰......ってか何者?」
九尾を追いまわすくらいだから......相当な実力者なのだろう。
でなければ、九尾が助けを求めて来る訳がないんだから。
「━━人を捨てた物じゃよ。死神に捕われた者、妖に魂を売った者.....
.たまに妖に恨みを持っている純粋な人間もいるがの」
人を捨てた者......。
それは最大の禁忌じゃないか。
人間と妖怪のバランスが崩れてしまう。