鬼と狐の宣戦布告
「でも、何故九尾ともあろう者が俺に助けを求めるんだ?」
対するは沈黙。
初めての沈黙。
常に会話をリードしていた者の沈黙。
「まぁ色々と訳があってのう・・・・・・。わらわは本質からしたら九尾じゃが実質的には九尾じゃないんじゃ」
・・・・・・は?
要するにあれか?
ベタ中のベタ展開に俺は巻き込まれちゃうわけか?
「尾を5本切られ、尾は殺生石と化したんじゃ。狩人たちはそれを利用し、わ
らわの尾をまた狙いに来るんじゃよ」
妖弧は言った。
実に予想通りのベタな展開。
「殺生石ってあれだよな? 妖力または霊力を底上げする霊装」
「ま、端的に言えばそうなるな」
九尾はそこで、ふーっと深い溜め息をつき続けた。
「そこでじゃ、うぬの力を借りたい。言うならば護衛ってところかの。勿論、
タダでとは言わん。報酬は用意する」
「報酬って言われてもねー。ていうか面倒くさい云々の前に信用しろってのが
どうもね」
俺がそこまで言うと狐は不敵に笑い始めた。
全てを見透かしているかのような笑み。
実に心地悪い。
そして九尾は一言言った。