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顔 上巻

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港南警察署の取調室では、
翌朝より一之瀬のDNA鑑定が行なわれ、その後、取調べが行なわれた。
警察庁の名うての刑事たちが一之瀬の取調べを始めた。
しかし、一之瀬はなにも話さなかった。
話さないどころか、なにも口にしようともしない。

DNA鑑定の結果、間違いなく一之瀬克也本人とされ取調べも強化されたが
なんの成果も挙げられず、担当の刑事たちは二日毎に舌を巻いて交代していった。
取調室のビデオはなんの声をも発しない一之瀬と苛立ちを募らせる刑事たちの
姿を記録するだけで、その本数ばかりが増えていった。

一方で、一之瀬の足取りを追う裏付け捜査は博多から、
大阪、神戸、東京、横浜、千葉と範囲を広げていた。
一之瀬の4 年間の逃走経路をひとつひとつ潰していったのだが、
やはり、関西圏での潜伏が長かった・・程度の情報しか掴めないでいた。

やがて逮捕から一週間、そして10 日が経ったが、
一之瀬は取調室では黙秘を続けた。
弁護士の謁見のときも名前と年齢を答えただけで、
一切、何も話さなかった。
家族の面会も断った。
食事も水も取らないまま、一之瀬の表情はみるみるうちにやせ細っていった。
逮捕後、14 日目にドクター・ストップがかかり、そのときだけ抵抗する
一之瀬は拘束され点滴が加えられた。
作品名:顔 上巻 作家名:平岩隆