顔 上巻
⑪二日目 #3
一之瀬は得意気に、ほくそ笑んで見せた。
で、白衣のヤツの跡をつけたんだ。
そしたら、北沢大学に入っていったんで、オレもついていった。
で、研究室の前で、呼び止めた。
どうしても金が要るんで、実験台になるよって。
話はトントン拍子に進んだな。
ヤツは北沢大学医学部の助教授で、二之宮と名乗った。
関西弁のキツイ奴で。顎の無いのっぺりした顔しててね。
前金として100 万もらった。
それで・・神戸に来いって云われて。
夜行列車乗り継いで神戸に行ったのさ。
神戸の駅降りると、二之宮の車に乗って、
山の中のヤツの別荘に向かった。
別荘につくと、随分と寂しいところで。
居たのは奴ひとりだが・・随分と豪勢なメシ食わしてもらって。
オレ、オレのさ、専用の部屋も与えられた。