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顔 上巻

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大川は、それまでずっと。
なにか口に出そうとしていたが、堪えていた。
気の短い小山は、その老刑事の煮え切らない態度に苛々していた。
そんな小山の態度を見てか、大川は小鼻が痒くなった。

「で、今の顔に整形したんだな。
なるほど、手配写真とは似ても似つかないな。
でぇ、ロザンナさんを殺したのか?」

大川は、一撃必殺の銃弾を的のど真ん中に撃ち込んだ気分になったが。
一瞬、他人事のように、キョトンとした顔を見せて
一之瀬の眼は天井に向かった。
そして、フフッと噴出すように小声で笑った。
「オレが?オレは殺してないさ。」

老刑事のあまりにストレートな攻めは、軽くあしらわれた。
小山は、堰を切ったように一之瀬に迫った。
「ホトケの首に巻いたベルトにお前の指紋が付いていたんだよォーッ!」
取調室の中央に置かれた机を叩いて、立ち上がった小山を。
一之瀬は、笑った。
「おまえのやったことは全てお見通しだーッ!ってか?」

「てめえ!」一之瀬に掴みかかろうとする小山を、大川は制した。
「いやだねぇ、変なドラマの見過ぎじゃね?」
おどけるように笑う一之瀬の態度が、小山の火に油を注いだ。
大川は、小山を抑えるのに必死だった。
マジックミラー越しの中井が、取調室に入り、小山は連れ出された。
作品名:顔 上巻 作家名:平岩隆