顔 上巻
⑧初日 #5
その後、顔面に包帯を巻かれたまま、ぼろアパートの部屋に放り込まれた。
地獄のような苦しみが続いた。
手足を縛られ、顔から火と電気がほとばしるような。
そんなとき、あの女が、優しくしてくれた。
包帯を取る日が来た。
新たなオレの。オレの顔。以前より、さえない顔してやがる。
いい感じだった。ただ右の頬に傷が残った。
半狂乱の日々は、実は一週間ほどであったことがわかった。
その夜、デバガメのような異国人に覗かれることは解っていたが
オレは、あの女をアパートで抱いた。新たな自分に満足していたオレは
満たされた。だが、この女なんでこんなところにいるんだ_?
で、その女に事情を聞いたんだけど。
あの女、自分で自分のガキを殺してしまったらしい。
だから、あそこにいるんだ。
なんか、抱いた後にしょげ返ってしまってさ。
そんな生活が続いていた。女の言うように。
ここをいじれば。あそこをいじりたくなる。
新薬の試験の仕事は、体力と精神的な圧迫感が辛かったけど。
払いが良かったんだ。