夜桜お蝶~艶劇乱舞~
「助けてやろう」
その見返りは?
「あんたがあの娘を代官の所へ連れてお行き」
裏切りの上塗りと、お紺への忠誠を見せること。
お紺は弥吉の返事など待たない。魂を売ったお紺に弥吉は拒否する権利はない。必ず成し遂げなくてはいけない。
縄を解かれた弥吉は力なく地べたに崩れた。
背を向けて立ち去っていくお紺が振り向いた。
「もし、あたしをまた裏切るようなことがあったら、地の果て地獄の果てまで追いかけて喰い殺してやるからね」
今が地獄。
弥吉は地獄から、さらに深く堕ちようとしていた。
クツクツと嗤う男の声が地下に響いた。
作品名:夜桜お蝶~艶劇乱舞~ 作家名:秋月あきら(秋月瑛)