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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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「オレにもよくわからないがそうらしい。もとよりオレは掟により舞桜様に存在が知られてはないとされていたが、あるとき不意に舞桜様の前に姿を見せてしまったことがあった。しかし舞桜様はオレの存在に気付かなかった。視界には入っているはずなのに感知できず、それだけではなくオレが舞桜様に触れても気付かない。オレに関わるすべてのことを舞桜様は?無い?ことにしてしまうんだ。ただ、〈魔王〉として覚醒めたときにはオレを感知できるようになっていたが……」
 なぜ舞桜は兎を感知できないのか?
 なぜ〈魔王〉ならば感知できたのか?
 夏希は少しうつむき、心を整理してから顔をあげて兎の眼を見た。
「舞桜ちゃん生きてますよね?」
 兎は頷く。
「ああ、オレにはわかる。もうすぐ帰ってくる……ただ(帰ってくるのは)。迎えに行こう、そう、広くて辺りを見渡せる場所がいい」
「あたしも行きます!」
「君にはその権利があるだろう。ただし、ほかの者は付いてこないでくれるか?」
 兎はベルと雪弥に目を配った。
 二人は何も言わなかったがそれが答えだろう。
「では、行こう」
 兎は夏希に声をかけ、二人は部屋をあとにした。

 満天の空。
 明るい月が静かに世界を照らす。
 広い草原に二人は立っていた。
「風が気持ちいいな。頬に風を感じたのは……もう遠い昔か」
 兎は感慨深く囁いた。
 いつも被っているウサギの頭は置いてきた。
「あ、流れ星」
 夏希が指さした方向から帚星が落ちてくる。それが星ではないと気付いたのはすぐだった。
 空を見上げながら兎が呟く。
「……帰ってきた」
 燦然と輝くそれは、神々しい光だった。
 〈魔王〉は地に降り立った。
 それを見た夏希は驚きを隠せない。
「えっ……」
 服が破れ、上半身裸になった〈魔王〉のその姿。
「ツルペタ!」
 思わず夏希は叫んでしまった。
 ツルペタというより、それはまるで……男のようだった。
 もしかして、髪の色が変わり、顔の模様が入ったことからわかるように、〈魔王〉になることによって肉体的な変化もあったのだろうか?
 夏希は兎と顔を見合わせた。
「〈魔王〉って男の人だったんですか?」
「そうだ」
「でも舞桜ちゃんは女の子ですよね?」
「いや、舞桜様も男だ」
「えーッ!」
 なんか今日はいろいろあったけど、もしかしたら一番の驚きだったかもしれない。