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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 男だと思っていた兎が女で、女だと思っていた舞桜が男。
 走馬燈にように駆けめぐる思い出。
 舞桜とのキッス!
 急に恥ずかしくなって夏希は顔を真っ赤にしてしまった。
 〈魔王〉は夏希たちと少し距離を開けて足を止めた。
「やはり……あのときの兎は貴姉だったのか……」
「改めて言おう、久しぶりだな〈魔王〉」
「貴姉が貴姉であるならば、そこにいる貴姉は誰なのだ?」
 〈魔王〉は夏希に視線を送った。
 同じであるが、個々に存在している二人。
 兎が答える。
「異世界の〈魔王〉だったお前なら理解できるだろう? 平行世界に存在している同じ存在だ」
「なるほど、ならば……二人とも私が愛した女ということだな。愛してるぞ二人とも!」
 いきなり〈魔王〉は軽いノリで夏希と兎に抱きついてきて、さらにいきなり夏希にキス!
 眼を丸くする夏希から口を離して兎にキスしようとしたところで、〈魔王〉は顔面にウサギパンチを食らって地面に転がった。
「私を殴るとは何事だ! 別にキスくらい減るものではなかろう!」
「相変わらずの女ったらしだな〈魔王〉! オレはお前のそういうところが嫌いなんだ!」
「ちゃんと前の世界で両思いだと確認しただろう!」
「そんなこと知るか。お前は両思いだろうとなかろうと女に手を出すだろ!」
「愛してる女に手を出して何が悪い!」
「悪いに決まってるだろ、せめて一人にしろ!」
 二人が言い争ってるのを聞いて、なんだか夏希は呆気にとられてしまった。
「(何この二人の関係……てゆか、この人ホントに〈魔王〉なの? 舞桜ちゃんが劣化したみたい)」
 今そこで兎と言い争っている〈魔王〉は、威厳も威圧感も、人に恐怖感を与える雰囲気すらも持っていなかった。世俗的で、女ったらしで、わがままな?ただの人?。
 急に兎が真剣な面持ちをした。
「よく聴け〈魔王〉。お前はオレと夏希のどちらを選ぶのだ?」
 夏希は少し驚いた。
 その質問の真意は?
 〈魔王〉は答える。
「両方だ」
 このとき、夏希の目からは兎が少し肩を落としたように見えた。
 静かに口を開く兎。
「そうか……どちらを選ぼうとこの先の運命は変わらないが。〈魔王〉よ、そろそろ続きをしないか?」
「続き……か。虚しい運命だな」
「なにがあろうとオレは〈魔王〉を滅ぼさなければならない」
「こちらも同じだ。剣を構えろ!」