まおー転生
「(だってもともとゴリ子さんがいなければ入れてたわけだし。はじめっからゴリ子さんを入れるのはおかしい話だったし、ゴリ子さんが入っちゃって、覇道くんかわいそうだなぁと思ったのは事実だけど……)よし、決めた。これからよろしくね、覇道くん」
「マジかっ、やっぐわっ!」
急に動いたもんだからケガが悪化。奇声を発した。ご臨終です覇道ハルキ。
「自業自得ね」
と菊乃が呟いた。
生徒会会議も特にやることがなく解散。
夏希は下校しようと廊下を歩いていたのだが、急にトイレに行きたくなってしまった。
放課後のトイレはシーンとしていた。
学園のトイレは清潔感に溢れ、高級店のリッチなトイレを思わせる作りになっているが、あんまり夏希は独りで来たいとは思わなかった。
なぜなら、まだ開校間もないというのに、学園七不思議『トイレ編』が噂になっているのだ。ちなみにまだ七つ全部があるわけではないらしい。
とりあえず、生徒たちの間では、トイレで起こる怪奇現象が噂になっているのだ。
「(こんな綺麗なトイレにオバケなんか出るわけないよね)」
自分自身に言い聞かせる夏希だったが……。
「ううっ、ううっ……うっ……うう……」
うめき声が聞こえてきた。
恐怖で身を強張らせた夏希はその場から動けなくなった。
「うう……今日も……ない……」
苦しそうな女の声だ。
なにが『ない』のだろうか?
ここで夏希はとある怖い話を思い出してしまった。
それはこんな話である――。
とある学校で、とある生徒が、とあるトイレに入った。
ぶりぶりしてお尻を拭こうとすると、
「オーマイガット!」
紙がない。
すると、とある声が聞こえてきた。
「赤い紙が欲しいか? 青い紙が欲しいか?」
なんかよくわかんないからテキトーに?赤?とか言っちゃったのが最期。
大量出血で生徒死亡。
後日、ほかのとある生徒がトイレに入った。
すると同じ声が聞こえてきた。
「赤が欲しいか? 青が欲しいか?」
先人の教訓からこの生徒は?青?と答えたわけだが――残念!
次の瞬間、体から血を全部抜かれちゃって死亡。
つまり、この話の教訓とは、うんちしてお尻拭くのは動物の中で人間くらいなもんだよ、っと。尻なんて拭かなくても生きていけるんだ。ということなのである。
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)