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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 何を言われているのかわからなかった。だが、その言葉で夏希は足を止めた。
「逃げる?」
「君がどんな中学時代を送ったから調べさせてもらったよ」
 急に夏希の顔に暗い影が差した(脳内歴史改ざんシステムにエラー発生!)。
「(何を知ってるの? どうして、なんで……わかんないよ)」
「君のことは私が一生守ろう。なぜなら君は私の婚約者だからね!」
「……はっ?」
 暗い気分にそのまま呑み込まれるかと思われた夏希だったが、あまりの素っ頓狂な舞桜の発言ですべて吹き飛んでしまった。
 教室中が息を吹き返したようにざわつきはじめた。
 世界的大富豪の孫娘に婚約者発覚!
 これはマスコミも食いつくスキャンダルだ。
 天道舞桜の人気は計り知れない。特にネットではカルト的な人気を持っている(一部噂では、莫大な資金を投入した自作自演とも言われている)。
 婚約者だと名指しされた夏希の人生がスッテンコロリンすることは目に見えている。
 とりあえずストーカー被害からはじまり、最悪舞桜のファンに暗い夜道で刺殺のオチがつくだろう。
 しかも、相手が?女?なんて、男どものショックも計り知れないが、ネットで『舞桜お姉様』と萌えている腐女子どもの嫉妬も計り知れない。
 許容範囲を越えた出来事に夏希は挙動不審になるばかり。
「待って待って、あの、その、これじゃなくてそれじゃなくて、何がどうして、婚約者って結婚を前提に……前提にぃッ!? あたし女の子なのわかってですますよね、天道さんってレズなんですか!!」
 一方の舞桜は冷静そのもの。
「ビアンだとかゲイだとか、性別という概念は私にとってさほど重要なことではない。好きなモノは好き、自分の気持ちに素直なだけだよ。好きなモノには頬を重ね、キスをしてみたくならないかい?」
「なりません。普通女の子同士でキスもしません。女の子同士で婚約者になったりもしませんから!」
「それは法律上の問題を言っているのかい?」
「そういうことじゃなくて、なんでわかってくれないの!」
「理解しようとしていないのは君のほうだ。人が人を好きになることを尊重し、性別における固定概念など捨てるべきだ」
「あーもぉー聞きたくない聞きたくない」
 夏希は自分の席に逃げ帰って、耳を塞いで机に顔を向けてしまった。