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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 舞桜と菊乃のインパクトが強すぎて、人間不信に陥って周り全部あんなじゃないかと錯覚するところだった。
 ところがどっこい、すでに教室に集まっていた生徒は少なくとも見る限りは普通。交流を持ってみないと確証は得られないが、兎にも角にも一安心だ。
 夏希は中学生の入学式を思い出した。
 はじめての教室。
 市立の中学だったので、小学校からの顔ぶれも多かった。
 今は独り。
 でも、新たな環境を臆することなく、むしろ夏希は楽しみにしていた。
 とにかく誰かに話しかけてみようと試みる寸前だった。
 この教室から音が盗まれてしまった。
 華麗な盗人は生徒たちの心も奪い、その視線を一心に浴びて教室に入ってきた。
「ご機嫌よう、我がクラスメートたちよ!」
 桜色の髪の毛を靡かせ颯爽と歩く舞桜。軽やかな足取りで迷うことなく、夏希の横の席に鎮座した。
「エーッ!?」
 叫ぶ夏希。
 自分の横にあの天道舞桜が座った!?
 すっかり他人だと思っていた要注意人物が、まさか今こうして横の席にいるなんて!?
 瞳をクリクリさせる夏希と向かい合った舞桜は、キラーンと輝く歯を覗かせながら神々しいまでの笑顔を浮かべた。
「はじめまして岸夏希さん」
「どうしてあたしの……」
 言いかけたそのときだった!
 ぶちゅ〜っ♪
 唇と唇が重なったのをここにいる全生徒が目撃して白く固まった。
 舞桜に抱き寄せられ、驚異の早さで夏希は唇を奪われたのだ。
 真っ昼間から接吻なんてけしからん!
 驚きのあまり抵抗も出来なかった夏希だったが、急に我に返って舞桜の肩を突き飛ばした。
「何するの!?」
 叫んだ夏希の顔は真っ赤だ。怒りではなく、恥ずかしさでいっぱいだった。
 今も唇に残る感触。
 嫌な感じはしなかった……むしろ……。
「(気持ちよかったなんてあたしどうかしてる!)」
 すでに夏希は籠絡されていた。
「(しかも同じ女の子なのに!)」
 それがショックを倍掛けにしていた。
 性犯罪者のレッテルを貼られても可笑しくない当の本人は、平然とした態度で悪びれた様子もない。
「顔を赤らめ恥ずかしがる君も実に愛らしい」
「あたしのことからかわないで!」
 涙を目頭に溜めた夏希は教室から走り去ろうとした。
 その手を舞桜が握って引き留めた。
「また逃げるのかい、君は?」