まおー転生
少し夏希は瞳を丸くした。
「(いつも傍にいるから全部見られてるんだ。あたしのほうから舞桜ちゃんと仲直りしてあげてってことかな)」
深呼吸をして夏希が気を休めた瞬間、お腹が『ぐぅ』と鳴いた。
「あ、お腹空いたかも」
「ではなにか食べに行こう」
「ポテト食べたい」
「ではさっそく北海道からジャガイモを空輸して――」
舞桜の言葉を遮る夏希。
「じゃなくて、○ック行きたい」
「夏希の好きなところならどこでも行くぞ。すぐに貸し切りの手配を――」
「しなくていいから! これからもっと舞桜ちゃんと仲良くなりたいから、あたし舞桜ちゃんの生活にも合わせる努力するから、舞桜ちゃんもあたしの生活に合わせてよね?」
「つまりそれは結婚生活におけるルール作りの話だな?」
「……もういいや(あたしが頑張ろう)」
夏希はため息を吐きながら歩き出した。
気付くと舞桜が横を歩いている。
また夏希のお腹が『ぐぅ』と鳴いた。
「あ、やっぱりドーナツ食べたいかもしれない。そう言えばこの町にミ○ドってないよね?」
「○スドとはなんだ?」
「ドーナツを売ってるチェーン店」
「ふむ、では今週中には誘致しよう」
夏希は『別にそんなことしなくてもいいから』とも思ったが、
「ま、別にそれはいっか、ねっ?」
笑顔を投げかける夏希を見て舞桜は不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔を返したのだった。
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)