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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 すかさず夏希が、
「ヤダし! なに提案とか言ってるの! あたしのこと助ける気があるの!?」
「あるに決まっているだろう。死人と結婚する気など毛頭ないぞ?」
「もうわけわかんない!」
 わけわかんないのは犯人も同じだ。
「てめぇら黙れよ! ちょっとでいいから俺に考える時間をくれよ!」
「三分やろう」
 完全に主導権は舞桜様。
 コンビニ周りにはすでに何台ものパトカーが到着し、カラーテープによって立ち入り制限がされていた。現場よりも大変なのは署にある対策本部だろう。だって外から見たら舞桜も人質のようなものだ。
 そんなことなどつゆ知らず。知っていてもお構いなしだろうが、舞桜は三分が経ったことを告げる。
「時間だ、交渉を再開しよう」
「もうお前となんか交渉しねぇーよ、俺の要求はほかの奴と交渉することだよ!」
「それはできん」
「お前に断る権利なんかねぇーんだよ。こっちには人質がいるんだぞ!」
「だが断る」
 休憩タイム入れても結局同じ。
 夏希はため息を吐いた。
「もういいよ、誰でもいいからあたしのこと助けてよ。お腹空いたし、疲れたし、眠いし(あ、そう言えばピンクさんどうしたんだろ。今もいるのかな、ケガとか平気だったのかな?)」
 いろいろ考えているうちに夏希はあることを思い立った。
「(なんか自力で逃げられるような気がしてきた。犯人さんも舞桜ちゃんにばっかり気を取られてるみたいだし。せーっので行こう、せーっの!)」
 ガブッ!
 夏希は自分の首に回されていた犯人の腕を噛んだ。
「イタッ!」
 犯人がひるんだところで一気に逃げ出した!
 が、すぐに犯人の手が伸びる!
「待て殺すぞ!」
 テンパっている犯人は包丁を持っている手を夏希に伸ばした。
「うっ!」
 犯人の小さなうめき声。
 包丁が音とを立てて床に落ちた。
 犯人は腹を押さえて少しよろめいたかと思うと、泡を口から吐いて気絶してしまった。
 舞桜の一言。
「ふむ、食中毒だな」
 それにしては突然過ぎるし気を失うなんて?
 夏希はわかっていた。
「(たぶんピンクさんが助けてくれたんだ)ありがとうございます」
 とても小さな声で夏希は囁いた。
 夏希の耳元で微かな声が聞こえるような気がする。
「舞桜様は人の心を理解しようとしていないわけではない。人の心が理解できない不自由な人なのだ。それをわかってあげて欲しい」