まおー転生
例えば、幼稚なことを否定して大人ぶるも、汚い大人や政治や社会を批判してみたり、生死観や宇宙について、自分と他人の哲学的思想、身近な物体の存在を問うてみたりすることが多いらしいが、しっかりした大人から見ると幼稚で滑稽に見えてしまう。
現在では実際に思春期まっただ中にいる青少年を示すと言うより、定義は曖昧でそういった人々を包括する言葉になっている。
舞桜は掛け布団を引っ張り剥がした。
「いつまでもこの生活が続けられると思うなよ。君は将来どうするつもりなのだ!」
「フリーターになるからほっといてくれよ」
「な、なんだとフリーターだと!? ジョブシステムを活用して?すっぴん?になるつもりだな! 最初はどうしょうもないプーだが、最終的には最強のジョブというか無職なのにラスボスを倒してしまうというアレかっ!(くっ、光の勇者たちの思想が着々と世界を浸食している)」
妄想しすぎ。
ベルは白衣のポケットから拘束具を取り出した――SMの。
「荒療治が必用なようだわねぇん。学園に監禁するしかないわ、そうすれば少なくとも登校拒否は改善されるわよぉん!」
そういう問題なのか?
不適な笑みを浮かべたベルがタローに飛びかかった。
「覚悟なさぁい!」
「ぎゃぁぁぁっ!」
その後、[あぁン♪]な恐怖がタロウくんを襲うこととなったのだった。
とにかく一件落着?
ベルに後処理を任せて舞桜と夏希は部屋の外に出た。
すると、マンションの廊下がなにやら騒がしい。
夏希はすぐに慌ててるオバサンに声をかけた。
「あの、なにかあったんですか?」
「屋上から飛び降りようしてる人がいるのよ!」
「ええっ!」
舞桜は深く頷いた。
「うむ、連続引きこもり殺人事件だな」
「は?」
と思わず夏希は声を漏らしてしまった。
意味不明なのはいつものことだが、聞かずにはいられない。
「どういう意味?」
「屋上に引きこもって自分を殺そうとしているのだろう? 立派な殺人事件ではないか?」
じゃあ『連続』って言葉はどこから来たの?
なんて訊く前に舞桜は屋上に向かって走り出していた。慌てて夏希が追う。
屋上に続く階段の近くには人だかりができていた。その先の様子はわからない。どうやら何らかの方法で扉が固定され、誰も屋上に入れない状況らしいことはわかった。
舞桜が刀を抜いた。
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)