まおー転生
ドアに殴る蹴るの暴行を加えた。
絶対に返事がない。
普通、あんな脅され方したら、出て行けるものも出たくない。
「NEETウイルスの合併症、居留守ね。仕方がないわぁん」
ベルは白衣のポケットからアイテムを取り出した。
ちゃちゃちゃちゃ〜ん、合い鍵♪
って、最初から使えよ。少なくともドアを蹴る前にカギだろ。
ドアを開けてベルと舞桜が雪崩のように乗り込んだ。
舞桜が片っ端のドアをノックする。
「早く出てきたほうが身のためだぞ!」
ベルが片っ端のドアを殴る蹴る。
「さっさと出てこないとドアにバズーカ撃ち込むわよぉん♪」
そして、夏希は丁重に玄関でクツを揃えてから上がった。
「おじゃましま〜す」
カギの掛かったドアの前に舞桜が立った。
「おそらく感染者はこの中だ。ドアを斬るぞ!」
なんていうかやり過ぎです。
刀の軌跡は幾重にも趨り、瞬く間にドアは細切りにされてしまった。
一気に中に乗り込む舞桜とベル。遅れて気まずそうに夏希が入る。
ベッドの上で掛け布団を被って身を守る少年。
「な、なんだよお前ら!」
明らかに怯えた声だ。
舞桜は刀の切っ先を少年の眼前に向けた。
「風タローだな?」
「そ、そうだけど……」
「私は舞桜学園の学園長兼生徒会長の天道舞桜、お前のクラスメートでもある。そして、彼女は担任の鈴鳴ベル、後ろにいるのが生徒会副会長でお前のクラスメートでもある岸夏希だ」
夏希はペコリと頭を下げる。
「あ、はじめまして」
頭を上げる前にベルが夏希を押し込んで前へ出た。
「アナタはNEETウイルスに感染しているわ。すでに引きこもりの症状が出ているから、確実に将来NEETになるわよぉん!」
続いて舞桜がしゃべる。
「NEETウイルスとは国家の転覆を狙うテロリスト集団が開発した細菌兵器なのだ。その感染力は凄まじく、電波によって感染する。特にネットによる感染例が多く報告されている」
「ほっといてくれよ」
タローは掛け布団の中に引きこもった。
舞桜が驚愕の表情を浮かべる。
「立てこもり事件発生だ! 感染者が自分の殻に立てこもってしまった。人質として自分を盾にするとは卑怯な!」
部屋のガサ入れをしていたベルがあるものを発見した。
「これをルックしなさい舞桜!」
ベルが手に持っていたのはテレビゲームのパッケージ。
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)