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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 夏希はずっと放さず持っていた狐面を菊乃に返した。
「はい、大事な物なんだよね?」
「……早く返して頂戴(ありがとう、岸さん)」
 菊乃は狐面を奪い取って顔に被せた。割れてしまっているため、常に手で押さえていなければならない。
 面を被った途端、なんだかいつもの菊乃に戻ったような気がして、ちょっぴり夏希は残念な気分だった。
「被らないほうが素敵なのに」
「でも被らないわけにはいかないの」
「どうして?」
「わたし人と顔を合わせるのが死ぬほど嫌いだから。そして、もっと重要なのは、この面がわたしの霊力を抑え、さらに人の声をある程度遮断してくれているのよ。だからわたしを守ってくれるこの面は絶対に外せない」
 ゆっくりと自分の膝から立ち上がる菊乃を見て夏希がハッとした。
「菊乃ちゃん裸!」
「そうね、変身したときに服は破れてしまったわ。仕方のない事よ」
「って、冷静すぎだから! 早く着替えなきゃ、とりあえずあたしの制服着て!」
 そして、夏希は自分の制服を脱いで菊乃に着せたのだが……。
「あーっ、あたしが下着になっちゃった!」
「……やっぱり馬鹿ね貴女」
「水着だって思えば恥ずかしくないもん……きゃーっ!」
 夏希が叫んだ。
「ごめん岸!」
 この場に駆けつけた雪弥は慌てて手で顔を覆った。
「すぐに着替え持ってくるから」
 そう言って慌てて雪弥はこの場を去って行ってしまった。
 思わず夏希は笑ってしまった。
「今の見たー? ちょっとおかしかったよね?」
「そうね」
 その狐面は少し微笑んでいるように見えた。