小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

まおー転生

INDEX|53ページ/104ページ|

次のページ前のページ
 

 芝生の上で横たわり、意識があるのかないのか、苦しそうな表情で眼を瞑っていた。よく見ると、皮膚にいくつもの黒い斑点が浮き上がっている。
「舞桜ちゃんだいじょぶ!」
「……ううっ……うぅ……」
 うなされながら苦しい声をあげているだけ、おそらく夏希の声も届いていない。
 夏希は辺りを見回した。
「魅神さん近くにいるの?」
《その女を早く連れて逃げるのよ。ここにいるだけで死ぬわよ!》
「魅神さんを置いていけない!」
《偽善者めッ! 行かないのならわたしが殺すわよ!》
「どうしてそんなこと言うの!(あたしはただ……なんでもいいからできることをしたい。友達になりたいと思ってるから、あたしのできることをしてあげたい!)」
《わたしのことを想うなら来ないで!》
「できないよ……だって魅神さんの声、苦しくて、悲しそうなんだもん。今行くから!」
 叫び声にも似た音を鳴らしながら突風が吹き狂った。
 思わずバランスを崩した夏希は腕で顔を覆う。
《来ないでって……言ったのに……殺してやる!》
 木の陰から巨大な何かが飛び出してきた。
 まるでそれは蜘蛛に似ていた。皮と骨だけの赤黒い躰から伸びる異様に長い手足。四つん這いで歩き、異臭を放ちながら夏希に向かって近づいてくる。
「(気持ち悪い)」
 夏希は心の中で呟いてしまった。
《そう、わたしは気持ち悪いの》
 半分以上飛び出した眼球をギョロッとさせながらその物の怪は夏希を睨んだ。
《気持ち悪いでしょう、恐ろしいでしょう、吐き気がするでしょう? これがわたしなのよ》
 夏希は深呼吸をしてからその物の怪を見据えた。決して眼を背けることなく、その物の怪の顔を見続けた。
「ごめんね、気持ち悪いと思ったのは本当。でも、それは見た目の問題で、中身は菊乃ちゃんは菊乃ちゃんだから、だからあたし本当に仲良くしたくて……」
《でも気持ちが悪いのでしょう? 気持ち悪いわたしの傍に近づけるの? わたしの躰に触れることができるの?》
「できる!」
 夏希は臆することなく物の怪に近づこうとした。
 しかし、それを拒んだのは菊乃だった。
《来ないで! どうして来るの!?》
「だって本当は傍にいて欲しいってあたしには聞こえるから。大丈夫だよ、傍にいてあげるから」
《来ないで!》
 物の怪の長い腕がなぎ払われ、鋭い爪が夏希の腕を抉り、破れた裾から真っ赤な血が滲んだ。