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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 夏希の頭に声が響いた。
「(なに今の声?)」
 再び夏希は見えない壁に手を触れた。
《来たら殺すわよ!》
 また声が響いた。
「誰なの!?」
 夏希の問いに雪弥は眉を寄せた。
「何かを感じるのかい?」
「声が聞こえたの」
「声?(俺には聞こえないのか)」
 もう一度、夏希は見えない壁に触れた。
《来ないでって言ってるでしょ!》
「魅神さん!?」
 それは菊乃の声だった。
 なぜ菊乃の声が聞こえるのか?
 この先に何がいる……怪物?
 夏希は見えない壁に手を押し込めた。反発される。それでも負けずと手を入れ、ねじ込むように体を入れた。
 見えない壁を抜けた途端、余った力の反動で夏希は床に倒れたしまった。
「いった〜い」
 床に両手を付いて立ち上がろうとした瞬間、
「イタッ!」
 激痛が足首に走った。
「右足ひねっちゃった」
 それでも夏希はどうにか立ち上がって、片足を引きずり歩いた。
 屋上に続くドアを抜けた途端、凍える強風とむせ返るような異臭に襲われた。
《来たら本当に殺すわよ!》
「どこなの魅神さん?」
《お願いだから……来ないで……》
 震える声。まるでそれは泣いているようだった。
 学園の屋上は敷地面積が非常に広い。運動スペースや緑化スペースなど、さまざまなスペースが設けられている。まるでそこが屋上であることを忘れてしまいそうな場所だ。
《来ないで……来ないで……見られたくない……》
 夏希の頭に響く声。言葉の意味とは裏腹に、まるでそれは助けを求めるかの声だった。だからこそ夏希は探さなければ行けないと思った。
 菊乃がこの屋上にいる。そして、おそらく舞桜も――。
 異臭を強くなる。まるで物が腐ったような臭い。肌を刺す風も強くなっていた。
 夏希は足下に目をやった。何か落ちている。
 拾い上げたそれは狐面だった。
 菊乃がいつもつけていたそれ。触れられることさえ拒み、決して外そうとしなかった面。顔を隠し続けた偽物の顔。
 しかも、その面は真っ二つに割れていた。
 公園スペースにたどり着いた。
 この異臭のせいか、眼まで開けられなくなってきた。
 それでも夏希が眼を開き辺りを見回すと、噴水がなんと汚泥を噴き上げていた。
 よく見ると足下の芝も黒く溶けているようだった。
「舞桜ちゃん!」
 夏希は目に飛び込んで舞桜に駆け寄った。