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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 明かりに照らされた動物の影。
 四つ足の獣。
 首の数は三つ、チワワが混ざっている……ケルちゃんだ!
 冷静に舞桜は言う。
「犬小屋を逃げ出したらしいな」
 『生徒会長天道舞桜VS地獄の番犬ケルベロス〜召喚成功しちゃったよ』事件のあと、学園で飼われることになったケルちゃん。急ピッチで犬小屋が建設され、そこにぶち込まれたらしいのだが、目の前にいるって現実を見るに逃亡したらしい。
 とりあえず出会い頭から脳天まで血が昇っちゃってるケルちゃん。いつもは可愛いチワワの頭も今は恐ろしいくらいの怪物フェイス。
 しかも暗闇だと怖さ倍増!
 飛びかかってくるケルちゃん。狙いは懐中電灯=夏希。
「来ないで!」
 レッツ逃走!
 逃げる夏希、追うケルちゃん、独り残された舞桜。
「……明かりがなければ何も見えん(まだまだ私の修行が足りんな)」
 舞桜を置き去りにしたことにも気付かず夏希は逃げる逃げるとりあえず逃げる。
 そしてまた逃げる!
 ケルちゃんは明かりを頼りに追っかけてくる。
 ここで一か八か懐中電灯を消した。
 息を潜めてそーっとそーっと。
 ブふぉっ!
 強烈な鼻息が夏希の顔に掛かって髪を靡かせた。
 恐る恐る明かりを点けると――いきなり大きな口!
「きゃ〜ッ!」
 夏希ダッシュ!
 牙が噛み合わされる音が廊下に木霊した。
 明かりを消したくらいじゃ嗅覚や聴覚でバレるっぽい。
「助けて舞桜ちゃんって……いないし!」
 今気付いたらしい。
 突然、夏希はグイッと腕を引っ張られて教室の中に引きずり込まれた。
「えっ!?」
 何が起きたのかわからない。
 素早く閉められたドアに突進するケルちゃん。
 世界が揺れたような衝撃が走った。
 そっと誰かが夏希を抱き寄せた。
「大丈夫、中には入ってこられないから」
「あっ……雪弥くん、何で?」
 とっくに帰ったと思われた雪弥がそこにはいた。
 閉められたドアに突進を続けるケルちゃん。だが、ビクともしない。
 学園の教室のドアにはカギがあり、頑丈なドアは外からの侵入を防ぎ、立てこもれる仕様になっていた。はじめから舞桜は何かと戦うためにこの学園を設計させたのは明らかだった。
 廊下からは唸り声が聞こえる。
 やがてその声も聞こえなくなった。
「もう出て大丈夫かな?」
 夏希が尋ねると雪弥は首を横に振った。
「まだすぐそこにいるよ」