まおー転生
夏希も変なことに巻き込まれるのが嫌だったので、早めに断ろうと思ったのだが舞桜のほうが早い。
「では仕方ない。私と夏希で任務に当たろう、良いな夏希?」
「ちょ、あたしも用事が……(ないけど)」
だって舞桜にベッタリされてるせいでまだ友達が……。
「夏希のスケジュールはすべて把握している。明日は誰とも約束がない筈だが?」
「一人(、、)で買い物ぉ〜(も行かないけど)」
だって買い物行くほど仲のイイ友達いないもんね!
「買い物ならば私が手配して誰かに行かせよう」
「ショッピングって見るのも楽しいんだけど」
「その感覚は私にはわからんな」
「……わかりました、行きます、頑張ります、好きにしてください!」
大丈夫、これまでだってたくさんの困難を乗り越えてきたんだもん。
会議はこれで終わりのようなので、このあとすぐに雪弥が帰宅の路についた。
夏希は途中の説明を聞いていなかったので居残り。てゆか、まともに説明聞いたのは三人でも途中退席したせいで、舞桜しか聞いていなかったりする。
新しいタバコを口に咥えながらベルはめんどくさそ〜にした。
「じゃ、はじめから説明するわよ」
「お、お願いします(もしかして怒ってるのかな?)」
ちょっと気まずい夏希ちゃん。
「国家の転覆を狙う細菌兵器の名をアナタは知っているかしら?」
「知りませんけど」
「アナタも一度くらい耳にしたことがあるはずよ。その名も――NEETウイルスよぉん!」
「は?(NEETってウイルスとかぜんぜん関係ない気が)」
ごく一般的に言われているNEETの解釈は、親のスネをかじって生きているプーのことだ。漫画家だろうと小説家を目指してようと、それは職業訓練じゃないからプーなのだ!
そのNEETとは違うの?
舞桜は神妙な顔をした。
「夏希、私たちと同じクラスにいるタローくんを知っているか?」
「誰タローくんって?(下の名前とかでだと余計にわからないんだけど)」
「夏希が知らないのも無理がない。なぜなら彼はNEETウイルスに感染して、まだ一度も学校に登校していないのだ!」
「それって単なる登校拒否じゃ?」
もしくはヒッキー。
そして、突然思わぬ事態が三人の身に降りかかるのだった!
――停電。
暗闇で誰かが叫ぶ。
「ついに来たか光の勇者ども!」
あえてノータッチ。
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)