まおー転生
だが、チワワの前に現れる別の首が舞桜に食いかかろうと迫る。
柳のようにしなやかに身を躱(かわ)し、舞桜は一刀をケルAの首に強打させた。
「峰打ちだ」
言葉のとおり、ケルAの首は落とされることなく、ぐったりとうなだれて気絶した。
一本の首が気を失っても残る二つがあれば体を動かせるのだろう。ケルベロスは唸り声をあげなら後退する。
怪物を前にしてまったく動じず立ち向かう舞桜を見て夏希が、
「(変態だ!)」
あまりにも普通のことをして処理する姿勢が、もはや変態としか思えない。
しかもペットにしようとしているところが変態度アップだ。
舞桜は刀を構え直した。
「あまりおいたが過ぎるようならしつけが必要だな」
ケルBは威嚇するように血の気の多い眼で舞桜を睨んでいる。
チワワは怯えるように丸い瞳をうるうるさせて今にも泣きそうだ。
舞桜が駆ける。
ケルベロスも全速力で走り舞桜と激突するかに思われた。
「なっ!」
小さく声を漏らした舞桜。その頭上を飛び越えたケルベロス。
狙いは舞桜の後ろだ!
「そうはさせるかっ!」
すぐに舞桜は身を翻して夏希に元に走ったが間に合わない。
闇に続く大口を前にして恐怖した夏希は体が固まったように動けない。
「(死ぬ!)」
声にも出せずそう思った瞬間だった。
ドーン!
突如起こった爆発で辺りは爆煙に包まれた。
煙に映った爆乳のシルエット。
「ハ〜イ、エブリバディ。ちょうどいい実験体が暴れてるって言うから来てやったわよぉん!」
セクシーボイスの持ち主は……誰?
マジで誰ですか?
新キャラの登場ですか?
煙が徐々に晴れ、その白衣のナイスバディを確認して夏希が叫ぶ。
「鈴鳴先生!」
「オーイエス! 学園のマドンナ可学教師にして、あんたらの担任の鈴鳴ベルティーチャーよぉん!」
新キャラじゃなくて二度目の登場ですね。
爆乳を揺らしながらベルは肩にバズーカ砲を担いでいた。これをぶっ放しやがったのだ。一歩間違えば夏希も巻き込まれていた。
砲撃を受けたケルベロスは舌をベロリンしながら地面の上で痙攣している。
ベルはハイヒールの踵でケルベロスをグリグリする。
「なかなかキュートなゲテモノねぇん」
夏希以外全員の美的センスが可笑しいです。この珍獣のどこがいいんですか、チワワだからですか!
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)