まおー転生
「オレ様はオレ様は……ビーフンってヤツを一度でいいから食べてみたかったんだ。世界三大珍味と呼ばれるビーフンをな!」
三つのどれと勘違いしてるんだよ……。
しかもなんか舞桜も勘違い。
「ビーフン……そんな珍味があったとは初耳だな。私も食したことのない食材だ」
舞桜はきっとハルキとは違う意味で食べたことがないのだが、勘違いの連鎖は続く。
「けっ、てめぇも食ったことねーのかよ。金持ちのクセしてたいしたことねぇーんだな(舞桜も食ったことねぇってどんだけ高級なんだよ、チクショー)」
だから違うから。
金持ちと貧乏の間に挟まれた中流家庭の夏希。
「ビーフンだったらいつもで食べさせてあげるけどぉ」
「本当かっ!」(舞桜)&「マジかっ!」(ハルキ)
二人の驚きの声が重なった。
あまりの衝撃だったのか、ハルキは打ち震えながら眼をギョッとさせながら、汗をだらんだらん滝のように流している。
「て、てめぇいったい何もんだ!(舞桜ですら食ったことねぇビーフンを……)」
「えっ……別に……(何者とか言われても困るんだけど)」
口ごもる夏希の体が突然舞桜に抱き寄せられた。
「私の婚約者だ!」
そーゆーことを聞いてんじゃありませんよーっ。
ハルキはハッとした。
「そうか……てめぇらグルだな。二人してハメる気だな!」
その解答に達した解答式を公開して欲しいのですが?
グルだと思われるのは舞桜の態度がアレなので仕方がないとして、ハメるって何を?
舞桜が怪訝な顔をする。
「グルとは失敬な。勝負は私とお前の一対一だ」
話が若干噛み合ってないように思えますよー、っと。
ハルキは再びハッとした。
「しまった、それが作戦だったんだな汚い野郎め。貧乏話でオレ様に勝てないと踏んだてめぇは、話をそらしてうやむやにするつもりだったんだろ!」
「この私が決闘を放棄するわけがなかろう。それにいつ私が負けると決まったのだ?」
財力の差で圧倒的不利かと(一般的には勝ち組みですが)。
舞桜は鼻で笑う。
「ふっ、いいだろう。私の話を聞くがよい!」
ハルキと夏希は息を呑んだ。どんな貧乏トークが繰り出されるんどあろうか、この舞桜の口から?
「これを見よ!」
と、言って取り出したのは五円玉……じゃないなぁ。
作品名:まおー転生 作家名:秋月あきら(秋月瑛)