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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 夏希は舞桜と付き合うようになってわかったことがある。
 天道舞桜は誇大妄想に取り憑かれているのだ。
 例えば、昨日の昼休みのこと、学園施設内にはいろいろなレストラン街があるのだが、そこで夏希が舞桜と食事をとっていたときのこと。
 ――殺し屋がいる!
 と舞桜が突然叫んだのだ。
 当然のごとく店内は騒然となったわけだが、実際は殺し屋なんて存在してなかった――舞桜の脳内を除いて。
 よくよく話を聞いてみると、殺し屋の正体はナプキンだったらしい。そこだけ聞くと意味不明だが、もっと掘り下げて訊くとこういうことらしい。
 レース付きのナプキンを眺める→レースがメイド服に見えてくる→そのメイドは銃器やナイフを携帯している→どうやらお屋敷にメイドとして潜入している→職業は殺し屋。
 そして、『殺し屋がいる!』ということになってしまったらしい。
 そんなわけだからイチイチ舞桜の発言を掘り下げないことに夏希はした。
 たしかにちょっと……というか、だいぶ舞桜は変わり者ではある。けれど、自称魔王の生まれ変わりの割りには、悪者ではない(いきなりキスをしてくるという悪癖はあるが)。だから夏希は今も舞桜の近くにいるのかもしれない。
 校内を歩いていると、廊下の向こうから女子生徒が走ってきた。
「助けてー!」
 そして、叫びながら通り過ぎた。
 夏希が『へ?』という顔をしていると、すぐに頭に角を生やした鬼が女子生徒を追って、
「悪い子はいねぇーか!」
 と、叫びながら目の前を過ぎ去っていった。
 思わず夏希は呟く。
「なに今の?」
 返事は思わぬ人から返ってきた。
「エクストリーム鬼ごっこ部だよ」
 夏希は驚いて声の主を見た。
 いつの間にか夏希の真横には、長身の男子生徒の胸板が――ちょっと顔を見上げると雪弥だった。
「鬼の扮装をした生徒が無作為に生徒たちを追い回すという部活らしいよ。さっきこれに似たエクストリームストーキング部を見てきたけど、恐怖度指数はあちらが上だったね」
 そんな部活まであるのか……大丈夫かこの学園。
 夏希は舞桜が意味不明なことを言ったら極力絡まないが、雪弥だったら大丈夫だろうと質問したのが間違いの幕開けだった。
「ところでエクストリームってなに?」
「エクストリームスポーツを知らないのかい!?」
「知らないから訊いてるんだけど(そんなに驚くことなの?)」