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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 サラリーマンと専業主婦の間に生まれ、経済状況は中の下くらいだが、明るく平凡な家庭で育ち、小中の学校生活もたくさんの友人に囲まれ平凡な人生であった(一部脳内歴史改ざんシステム発動)。
 しかし、この学園に入学したことを期に、平凡な人生がチョメチョメになるとは、夏希は知るよしもなかったのだ……。
 フリーに転向した女子アナの司会で入学式は進む。
「では続きまして、新入生代表挨拶。新入生代表――魅神(みかみ)菊乃(きくの)」
 名を呼ばれた女子生徒が席から立った瞬間、異様なざわめきがさざ波となってホールに広がった。
 遠くの席から見ていた夏希も眼を丸くしている。
 その瞳に映ったのは黒衣の少女。学園指定の制服と形は同じだが、色が黒なのだ。しかも、着物の柄のような花や蝶がちりばめられている。
「(絶対に特注だ!)」
 心の中で夏希が叫んだ瞬間、壇上へ登ろうとしていた菊乃が、艶やかな黒髪を靡かせながら急に振り返った。
 夏希は思わず息を呑んで、心臓を鷲掴みに潰された。
 ――人の姿をした狐がこちらを見ている。
 それは菊乃が被る狐のお面だった。彼女はその日本人形のような出で立ちに加え、狐面で顔まで隠す変質者だったのだ。
 壇上に立った菊乃はマイクに向かって小さな声で話しはじめた。
「下賤な新入生たち、浮かれているのも今の内よ。貴様らは明るい未来など本当に信じているのかしら? うふふ、馬鹿馬鹿しい」
 一瞬にしてホールは『は?』という感情に包まれた。
 そして、菊乃はこう続けたのだ。
「早く首を吊って逝ってしまいなさい、そうすれば楽になれるわよ。ただし、首を吊った屍体を皆さんは見たことがあるかしら……鬱血により[長い自主規制]、それだけでも無惨だというのに、首を吊る前に食事を摂っていたり、用を足していなかったりすると[長い自主規制]。死して醜態を晒すのと、生きながらにして醜態を晒すのと、どちらがいいのかしらね、うふふ」
 蒼い顔をする者や席を立つ者が続出。
 何であんな[自主規制]女に代表挨拶させるんだよ――という暴動が起きる寸前だった。
 夏希も話を聞きながら口に手を当てていた。
「何あの人……どうしてあんな人が代表挨拶に選ばれたの?」
 独り言のように呟くと、隣にいた女の子が小さな声で教えてくれた。