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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 絶対者の命令に逆らえるはずもなく、仕方なくビデオ判定の映像が映し出されることになった。
 映像は特設会場のビッグスクリーンや、アトランティス全土のテレビ、宇宙人が受信した電波にも映し出された。
 スローモーション映像の一部始終。
 ――夏希を抱きかかえてゴールテープを切った舞桜っぽい。
 映像を見ていた舞桜の表情が曇る。
 コマ送りでもう一度見てみよう。
 ――舞桜に、抱きかかえられて、ゴールテープを、切った、夏希。
 凍り付いた舞桜の横にいた夏希がボソッと呟く。
「……あっ、あたしが先にゴールしてる」
 ガ〜ン!!
 巨大な鉄球に脳天直撃されたように舞桜が大きく足下を崩した。
 どこからか聞こえる嗤い声。
「ふふふふふっ、残念だったわね……副会長の天道さん」
 見事に嘲笑った菊乃。
 放心状態の舞桜が地に手を付く中で順位がアナウンスされた。
《一位生徒会長、岸夏希。二位副会長、天道舞桜。三位書記、鷹山雪弥。四位同じく書記、魅神菊乃。五位会計――ゴリラ!》
「ハァ〜〜〜ッ!?」
 大声をあげたのはハルキだった。
「ちょ、待てよ。五位はオレ様だろ、学費免除はオレ様だろ!」
 本部に殴り込みに行こうとしたハルキにゴリラが襲いかかる。
「やっ、やめっ、やめろーっ!」
 [自主規制]。
 ここで夏希もある重大なことに気付きハッとする。
「……っ、あたし会長なんてできない!」
 再起不能の舞桜。黒い邪気を放つ菊乃。この中では唯一のまともさんの雪弥。そして、ゴリラ。
 どーやって生徒会を運営していけばいいのかと?
 アレよアレよというウチに、記者会見らしき会場に夏希は引っ張り出され、やる気のないカメラマンと、やる気のないインタビュアーに囲まれていた。
「会長として、これからの意気込みを適当に言っちゃってください」
 マイクを向けられた夏希が口ごもる。
「ええっと……(えええ、なんて答えればいいんだろ)」
「一位には副賞としてどんな願い事でも叶えてもらえますが、金ですか?」
「えっ(決めつけ?)、あのぉ〜、そのぉ〜(いきなりそんなこと訊かれても)、願い事は……」
 誰かが夏希の耳元で美声を囁いた。
「舞桜様に会長職を譲ると願えばいい」
「そう、それにします! 天道さんに会長を譲ります、それがあたしの願いです!」
 夏希の願いは舞桜の耳に届いた。