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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 いつに夏希は頭を抱えて蹲った。
「(ダメかも、ほかのこと考えちゃう。どうしよう、えっちなこととか考えたら全部知られちゃうのかな、あ、ダメ……考えないようにしてるのに[いやぁン♪]頭によぎる[いやぁン♪]。あーもぉーダメ![いやぁン♪])」
 この場から逃走しようと夏希はしたが、ガシッと舞桜に腕をつかまれてしまった。
「どうしたのだ?」
「あたしここにいられない!」
「なぜだ?」
「聞かないでお願い!(きっと言っちゃイケナイんだ。ヒミツをバラしたら魅神さんに殺され……ごめん、今の間違い! 魅神さんはそんなことしない。ごめんなさい、魅神さんはいい人です!)」
 ちょっとテンパり過ぎだった。
 急に辺りの気温が下がったような気がした。
 菊乃がゆっくりと近づいてくる。
「そうやって……みんなわたしを恐れていくの……そうやって(みんな同じ、わたしを忌み嫌い遠ざける。わたしだって聞きたくて聞いている訳ではないのに)。けれど、もう貴女は逃げられない」
 刹那、夏希は足首を掴まれた。だが、足にはなにも触れていない。掴まれているのは、夏希の影だった。平坦な黒い人影が夏希の影に手を伸ばしていたのだ。
「やだっ?!」
 驚いて〈影〉を振り払おうとしたが、〈影〉は強い力で放そうとしない。厚さもない〈影〉のどこにそんな筋力があるのか――否、物理的な力でないと考えるのが自然かもしれない。
 舞桜は刀を抜いて謎の〈影〉が映る地面に切っ先を突き刺した(刀が復活しているのは仕様です)。
「夏希を放せ!(……っ、刃が立たない!)」
 狐面は口元を手で隠し、まるで嗤っているようだった。
「無駄よ無駄よ、刀で影は切れない。さあ、こっちへおいでなさい」
 菊乃の合図で受けて、〈影〉は夏希を羽交い締めにして引きずった。まるでその光景は、夏希がパントマイムでもしているかのような、悪ふざけにしか見えない。人が動けば影が動くのではなく、完全に逆転した行動を夏希は取らされてしまった。
 そのまま夏希は菊乃の傍まで来て、菊乃の抜いた短刀を頸もと突き付けられてしまった。
「動くとこの子ののど笛が血を噴き上げることになるわよ」
「あたし人質!?」
 復唱するまでもなくそーゆーことです。
 舞桜は刀を鞘に収め、背を丸めて地面にゆっくりと置いた。
「これでいいか?」
 満足そうに菊乃は頷いた。