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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 しかも、勢い余って顔面から地面にダイブした。
 ありえない、あの天道舞桜がこんな痴態を晒すなんて明日は季節外れの雪が降る!
 カエルのように地面にへばる舞桜の横を静かに通り過ぎる黒い邪気。
「まだ序の口よ、天道さん」
 菊乃だった。
 この瞬間、一部始終を見ていた夏希は思ったことを口に出してしまった。
「呪っ!」
 物的証拠はない。でも、でも……詮索したら呪われそうだからやめておこう。
 恐怖のあまり誰も動けない中、長身の男子生徒が舞桜に手を差し伸べた。
「大丈夫ですか天道さん」
 何故かこの場に鋭い憎悪が駆けめぐった。
 理由は顔に出やすい夏希を見ればおのずと見えてくる。
 瞳をキラキラさせながら、ちょっぴり頬を赤らめる表情といったら?
「(あの人……とってもイケメン)」
 夏希はイケてると思った程度だったが、中には嫉妬を渦巻かせる女子もいる。王子様に手を差し伸べられた姫が目の敵にされたのだ。
 そよ風のような爽やかな風体と、決して暑苦しくない優しい笑顔。一部の非モテの男子からは大変嫌われそうな感じがする。
 だが、そんな王子様もフラれることもある。
 舞桜は差し伸べられた一瞥しただけで、自らの力でゆっくりと立ち上がった。
「男の手は借りない。だが、気遣いには感謝しよう――鷹山(たかやま)雪弥(ゆきや)(闇の狩人と聞いていたが、実際に会ってみると印象が違うな)」
 雪弥は静かに手を下げた。
「僕の名前を知ってるなんて驚きだな」
「(僕……か)全校生徒の顔と名前くらいは覚えて――」
 舞桜の言葉が突然遮られた!
「きゃ〜っ、転んじゃったぁ〜!」
 女子生徒がコケていた。ワザとらしくというか、絶対にワザと。抜け駆けした女子生徒の末路を考えると怖くて眠れない。
 すぐに雪弥はその女子生徒に駆け寄っていた。見事にブリッコの術中にハマった形だ。
「きゃん、あたしも転んじゃったぁ!」
「あたしも〜!」
「わたしも〜!」
「おいどんも〜!」
 次から次へとあがる女子の声。
 ちょっとした特異な状況と化したこの場だが、舞桜には興味のないこと。
「出遅れたが行くぞ、夏希」
 舞桜は夏希の手首を握った。やっぱりこうなるらしい。
「あたしは……あっ、天道さん鼻血」
 舞桜の鼻から鼻血が出遅れた。転んだ衝撃が今になってやってきたのだ。