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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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「邪道じゃない覇道(はどう)だ。会わないうちに……オレ様より身長高くなりやがって、ショックで立ち直れねぇ!」
 両手両膝を地面に付けるという、ネット上で有名なポーズで落ち込む覇道ハルキ。
 どうやら二人は知り合いらしい。
 落ち込んでいたかと思うと立ち直りも早いハルキ。
「だが、身長は伸びても胸はぺったんこだな! 胸囲で勝負したらオレ様が勝てるくらいの無乳だな! 勝った、オレ様は勝ったんだ、あの大富豪の天道一族に勝ったんだ!」
 目頭から熱い心の汗を流しながら勝利を噛みしめるハルキ。
 舞桜は眼から冷凍ビームをハルキに浴びせている。
「むにゅぅとは何だ、新種の軟体動物かなにかか?」
「無い乳って書いて無乳だバーカ!」
「つまり私のことを蔑む暴言と解釈するべきだな。しかし、胸がないことに私は何のコンプレックスも持ち合わせていない。さらに言えば、狩猟民族のアマゾネスは、弓を使う際に乳房が邪魔になることから切り落としていたとも伝え聞く。つまり豊満な胸とは無駄なものなのだ」
「バーカバーカ強がってんじゃねぇよ、バーカ!」
 バカって言う方がバカを体現している素晴らしい標本(ばか)だ。
 ハルキの声なんか右から左に受け流す舞桜は、メガホンでしゃべる職員に耳を傾けていた。どうやらスタートまで『あと一分』というアナウンスをしているらしい。
「夏希、トップでスタートするぞ」
「あたし別に生徒会役員にならなくても……(頼まれてもやりたくないけど)」
 すでに舞桜の視線は遠く、夏希の言葉が届いているかわからなかった。
 スタートまで一〇秒を切った。
 審判がショットガンを構えたのを見て動揺する生徒がいる間に――。
「位置について!」
 3、2、1――。
 バン!
 天空に木霊する銃声の合図と共にいち早く飛び出した舞桜が――コケたッ!?
「ッ!」
「お先に!」
 そう言ってニヤっと笑ったのはハルキ。こいつが足を引っかけたのだ。
 だが、舞桜は超絶的な運動神経を発揮して、地面に手を付いて倒立前転にひねりを加えて華麗な新体操を披露した。しかも、どの角度からもパンチラしないという神業。
 が、着地の瞬間に完璧は崩壊した。
 グキッ!
 これは実際に聞こえた音ではない。心象の音だ。まさにこの状況に相応しい擬音。
 なんと舞桜は着地に失敗して足をひねってしまったのだ。
 ズサーッ!