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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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まおー転生

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 レースの開始時刻が刻々と迫る。
 スタートラインギリギリに立っている者は少ない。強制参加組のほとんどは、ちょっと下がったところに立っている。
 もちろん舞桜は先頭に立っている。道連れの夏希も同じ位置。
「天道さん会長目指してる……の?」
「何を今更、学園を支配下に置くためには当然じゃないか」
「(支配下って)学園長なんだからもう十分じゃ?」
「実力で得た地位でなければ意味がないのだよ」
「(この人が何考えてるのかわかんない)」
 生徒会役員をレースで決める時点で意味不明だ。けれど、はじめから?ただの生徒会役員?を選ぶためではないとしたら……。
 五〇〇〇もの生徒がいれば、中にはヤル気満々の命知らずも一人か二人はいるだろう。
 スタート地点で動作過剰で準備体操をする青年。
「ギャーッ足つった!」
 そして、地面に転がって悶える青年。
 どう見てもアホです。ごちそうさま、お腹いっぱいのアホでした。
 AHOとは空気感染を引き起こすウイルスの一種だ。耐性のない者はすぐに感染してしまう。それ故に、アホは無視するのが一番である。
 だから地面で悶えるアホに優しい言葉なんて掛けてはいけないのだ。
「大丈夫?」
 夏希が声を掛けてしまった。
 目と目が合う瞬間。
 時間が止まり、まるで世界にいるのは二人だけ。
 青年は静かに言葉を紡ぎ出す。
「家族以外の女に声を掛けられたのは一年と三ヶ月ぶりだ」
 ……キモッ!
 そうと決めつけるのはまだ早い。引きこもりだったから仕方なく……それはそれで(コメントは差し控えさせてもらいます)。
 変なヤツに関わってしまったと気付いても遅い。普通は関わる前に気付くものだ。これがアホウイルスの恐ろしいところである。
 夏希がどうやってこの青年との関わりを断つか考えていると、いきなり!
「オレ様と結婚してくれ!」
 出会って三分もしないで愛の告白!
 慌てる夏希。
「え、え、えっ、そんなこと言われても困る!」
「その通りだ、私の女に手を出さないで貰おう!」
 白い鞘から趨(はし)った輝線(きせん)。
 刀の切っ先を青年の首に筋に突き付け、そこには舞桜が立っていた。華麗な銃刀法違反だ。
 殺意のこもった瞳で舞桜は青年を睨んでいた。
「邪道ハルキ……久しぶりだな」