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MURDER

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「毎日、毎日、同じ事言いやがって! てめぇの息子が、そんなに頭良い訳ねーだろっ!!」
「……実……。警察、行こ」
 震える声で、誠が訴える。
「“弁護士”になんて、なりたかねーんだよっ!!」
「……実。自首、しよう!」
 語尾が強くなり、実が誠を見た。
「俺、付いてってやるから!」
「お前が?」
 訝しげに見る実に頷きながら、誠が続ける。
「何の役にも立たないかもしれないけど、一緒に行ってやるから。弁護だって、してやるから。……だから、自首しよう!! 親友だろ、俺等?」
 必死の形相の誠に実が笑い出す。
「自首? 少しでも刑を軽くする為に?」
 クスクスと笑いながら、囁くような実の声。
「……だったら、さ……」
 しっかり聞こうと、誠が身を乗り出す。
「だったら、お前が被ってくれよ、“殺人罪”」
 驚く程のスピードでポケットからナイフを取り出すと、それを誠の首筋にピタリと当てて実の笑い声が高くなった。
「さ、殺人……罪?」
「首、斬りつけたらあっという間だった。親父をやったら、母さん、その場で腰抜かしやがって、騒ぎ立てるから、そのまま流れで逝ってもらった」
「な、流れでって……。俺じゃ、流れが……」
「大丈夫だよ。お前殺して、すぐにお前の両親殺して……。おかしくなったお前が俺ん家に来て、殺しまくった、って事にしといてやるからさ」
「……実……やめ……」
「“親友”じゃん、俺等?」
 実の腕に力が入り、誠は必死に抵抗した。ナイフの手と、身体を押さえつけている手を掴み、渾身の力で引き離す。
「そんなの、何の解決にもならないじゃないか!!」
「俺的には、全然なるんだよ!!」
 詰め寄る実。
「それは“解決”じゃないだろっ!」
 後退りする誠。
“ガタッ”
 辺りに散らかる廃材に、誠が躓き、よろめいた。その瞬間、待っていたかの様に実が襲いかかる。振り上げられたナイフを、その腕を、手を伸ばして食い止める。そして、再び身を翻した。が、最初によろめいた場所が悪かった。部屋の隅の方だったのだ。やっとの思いで翻した我が身だったが、その先は、壁だった。
 どこにも逃げ場はなかった。
 実がフッと笑みを浮かべ、ナイフを低く構えて踏み込んだ。
  ――――――――――――
「……え?……」
 踏み込んだ筈の実が首を傾げる。
作品名:MURDER 作家名:竹本 緒