秋に見かけた空き地が
少し噂についての考察をさせてほしい
噂。
古代より言葉をつかさどる人間は、しかし一義的に決まらない言葉というもののせいで、多くの噂という怪物を生み出してきた。それはまだ小さな社会共同体(コミュニティ)であるばあいはまだ統制することもでき、制御することも操縦することも、利用しつくすことも可能だった。…つまりは人間が従える奴隷の一種であり、生命体ではないが、その中に明確な意思を持つ想念である。しかしあくまで生み出すものがいて、伝わる過程も分かっているという意味で、厄介なものでも何でもない。それは人間が偶発的に、あるいはまた故意に生みだしたにせよ、あくまで人間はそれを取捨選択することができる範囲での成長だった。
それが噂である。その化け物も散り散りの中では何の力も持たなかった。
インターネットを知っているだろうか、なんて質問はもうそれ自体が愚問となってしまった。インターネットの開発された場所はアメリカ・そして作られた理由は簡単で、軍事利用、つまり網上の回線によって簡単にミサイルを撃つことができるように設定された技術だった。それをコミュニケーションに使用し始めて、そうして掲示板やチャット、メール何かというものが出てきた。つぶやくだけのサイトも生まれ、またSNSは多くのユーザーを確保している。そういうご時世に置いて、人間は理性を失いつつあるのかもしれない。大きな噂の前に人間は取捨選択を忘れているのかもしれない。そして、見たことよりも書かれていることを信じるという生物らしからぬ本能を獲得していく。ただのたわいもないつぶやきが大きな台風となって地球温暖化により日本列島に到達して北海道すら巻き込んでいく。
作品名:秋に見かけた空き地が 作家名:フレンドボーイ42