秋に見かけた空き地が
秋に見かけた空き地が冬には家が建っているんだけれど
「じゃあね~」
「バイバーイ」
そういって言葉を交わしてミニスカートの女子学生たちは『ふらふら』と別れていく(悲しいわけではなく、しっかりして歩くという意思が欠如しているのである)その右手ですでに携帯電話を取り出してメールを打ち始めている。別れたばかりの相手にたわいもない一行メールを送信しては絵文字で飾り立てた内容もないメールをやり取りするのが彼女らのいつもの所作である。…まったくもって彼女たちはほかに見るものはないのだろうか。友人とあってもファーストフード店で店員や周囲の客をはばからずに2~3時間だべっている彼女らにはモラルというものは当然なく、したがって男子からも別に興味の対象となりえることもないわけだが、こういうのに限って自分がかわいいと勘違いをしている始末であり、それはもう救えないレベルに達している。学校に「スカートを短くしてほしい」という要望を出す時点で彼女らの脳の加減をはかり知ってしまう男子は、結果、2次元およびテレビのアイドルにのみ好感を持っていくことになる(2次元に欲望の対象を据えられる・そしてランキングに弱いのは日本人の社会性として固有の稀有なものとして語られるべきであろうが、そういった実際の女に対する軽蔑感が生み出すものであることも少しは理解しておいた方がよいのではないだろうか?さて、このようなことを述べる理由は後で述べることにする)。そうしていつしか見ていくと、そんなアイドルも晴れ姿を見せるのは一時期で、あとはへんてこりんな番組の企画をこなすタレントになって醜態をさらすか、もしくは、裏の世界に転じる。AV(これは驚くべきことではもはやないと思うのだが)に出たアイドルが騒がれたことがあった。
今、女子高生が、商店街で焼きたてのクロワッサンのにおいを漂わせながら子供連れの主婦を店に入れようとアンパンマンのパンを陳列して、それにまんまと引っ掛かる子供に困り果てる母親が立ち往生しているパン屋の前を通り、そして寂れた並木道に入り、だからといってべたに通り魔が現れることもなく、ただただ平和な中に一見の古ぼけた家が建っていて、その横を通り過ぎる。
家はボロボロ…というより、もはやあばら家とも呼べないようなレベルで、よくこんなものが台風や地震の多いこの島国でここまでもったものだなあなどと、少し感慨を覚えてしまいそうだ。…おかしな男が出入りしている様子が見受けられる。麻薬でも取引しているのだろうか?しかしその割には見た気もする。とすれば指名手配犯だろうか?確かにほくろの位置や、髪の毛のハゲ具合はそれとしか思えないような風貌である。また、地元の小学生の間ではお化けが出るなどと騒がれている。幽霊だったり、またはどくろだったり口裂け女だったりと子供の言うたわいもない噂話なのでどんどん脚色され、というより尾ひれがついて、という方が正しいのか。…噂。
作品名:秋に見かけた空き地が 作家名:フレンドボーイ42