男子校読書倶楽部
大層やる気の無さそうな少年こと祢は、この様に呑気な顔を見せながらも心の内では深刻と言える程の事態に直面していると、彼なりに思っていたのであった。
入学を終え、友人作りやら学校生活に合い慣れようとするこの時期に、彼にとっての一番の問題は全校生徒強制参加という避けられない事実である、部活動であった。
人との関係性の重大さを図られるのに最も難関な壁である。
祢には友人と呼べる友人達が、中学には両手の指で数えられてしまう程にいたのだが、今の彼にはその指で数えられない―――つまり悪い方で0であった。
長めに伸ばされ揃えられていない前髪で顔は隠れ、さらにそこに黒縁の眼鏡を掛けているため雰囲気はドンヨリと暗い。その外見からして彼に話しかける輩がいるとは到底思えなかった。
そしてその彼に似つかう部活といったら、殆どの運動部はこの時点で全て弾かれるだろう。そもそも運動することに興味もなければ得意でもないため、関心すら向かないようであるのであった。
そんな彼は理科系にも見えるが、実は本好きの文学系である。しかし文系で部活というと何があるのかというと、色々と思案するが部活案内に目を通してもそれを主にする目当てのものの姿はどこにもなかった。
それを踏まえた上で彼はボンヤリと外を眺めていた訳だが、このままでは後々担任から声を掛けられることは目に見えていた。
こんなことをしていても、何事も上手く解決する訳ではないのだ。彼が残酷だ、理不尽だと押し付けるこのような生活の中でも、何とか自分を叱咤して、しかし情けない顔を隠せぬまま、自分の足で探して出向くしかないと―――少しばかりの決心をして立ち上がった所存であったのだった。