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天使と 第一章

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「ジョウ様、口にケチャ(ry」
トモの言葉がはるか後方に聞こえた。



さっとジョウが羽ばたくと一気に空を飛んだ。
今日は羽に違和感も感じない。
さっきまでニコニコしていた顔が一変して険しい表情になる。
暫く走っていると、目的地へついた。
其処は、丸く何も生えていない索漠とした地がみえる。
さらに中心には丸く窪んだところがあった。
其処に着地する。
その特に窪んだ場所に座ると祈りの言葉をささげた。
それと同時に目の前で死んでいった恋人を思い出す。
贄として運命が決まっていたジョウに優しく接してくれた。
今でもあの笑顔が脳裏には焼きついている。
「ヒ・・・デ・・・。」
そう呟くとジョウの口から嗚咽が漏れる。
暫くその場で涙を流していた。
そして、顔を乱暴に拭うと立ち上がった。
ジョウの顔の左半分には涙の跡がついていた。


町までの道のりは歩いて帰った。
気持ちを落ち着けるためゆっくりとした足取りで歩く。
そして、町に着くとせっせと食材などを買い始めた。
両手が紙袋いっぱいになってところで、ジョウの足は花屋へと向かっていた。
「いらっしゃい、兄ちゃん。荷物が大変じゃないかい?コレに入れな。」
花屋の女主人は笑ってダンボールを用意する。
「ありがとうございます。それから花束が欲しいんですけど・・・。」
「お、なんだい兄ちゃん、誰かにあげるのかい?お安くしておくよ。」
女主人は笑いながらテキパキと花束を作り始めた。
「出来れば、クルーアローズを入れて欲しいんですが。」
「もちろんいいわよ〜。全く若いっていいわね。私もあと10年若かったらね〜。」
ため息をつくように女主人は笑った。
「今でも十分若いですよ。」
「お兄ちゃん嬉しいこと言うね〜。おまけで花束15ノエね。」
そう言ってウインクをする。
「ありがとうございます。貴女に神の祝福がありますように。」
ジョウは笑って花屋を後にした。
仮面で覆われていない左側の顔はとてもにこやかに笑っている。

「トモ君、ジョウ様の様子どうだった?」
トモが廊下を歩いていると急にタケが後から声をかけてる。
そのため、手に持っていた洗濯物を盛大に落としてしまった。
「タケ・・・。びっくりした。」
「だよね。ごめん・・・。」
2人は落とした洗濯物を拾いながら笑い合っていた。
「そっちの耳は大丈夫なんだって。聞きづらいのはこっち。」
作品名:天使と 第一章 作家名:私は誰?