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朧木君の非日常生活(13)

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この子は泣いているんだって。
「もう大丈夫だから。君の気持ちは充分俺に伝わったから」
もう、苦しまないでほしい。
「お姉ちゃん・・・・・・! もう、やめよう・・・・・・もう、やめようよ!」
座敷ちゃんが叫んだ。
 やっぱり姉妹だったんだ。
無表情を決して崩さなかった座敷ちゃんが、顔を泣き崩して叫んだ。
「・・・・・・寂しかったの」
初めて女の子が口を開いた。
いつの間にかその表情は、女の子らしく、より人間らしさを取り戻していた。
「蜻蛉くんがいなくなって、村がおかしくなって。大人たちが皆で殺し合って・・・・・・とても寂しかった」
だからだろう。だから、死して尚、座敷わらしという存在になってまでこの村にいたんだろう。
この村を残したのだろう。
「朧木くん・・・・・・でいいんだよね? ごめんなさい。ああいう方法でしか夢を見させることが出来なかったの。気づいてくれてありがとう」
「いいんだ」
だから急所も外したし、致命傷にならない程度に押さえたんだよね。
結構痛かったけど、そんなの関係ないよな。
「私ね、本当にこの村が好きだったの。だから、もっとこの村にいたかった。蜻蛉くんにも帰って来て欲しかった。でも、村は滅びちゃった」
女の子の問に蜻蛉さんはどう答えるのだろうか。
何を考えているのだろうか。
「知っていたさ、朧木くん。彼女たちが本当は寂しかったってことくらい。僕は知っていた」
蜻蛉さんは、そこまで言って静かな笑みを浮かべた。
蜻蛉さんが何に対して、笑みを浮かべているの分からない。
蜻蛉さんの今の笑みはどちらかというと『嘲笑』にも似ていた。