朧木君の非日常生活(13)
「なんか、悲しいね・・・・・・でも、朧木くん役に立ってないね、全く」
そこまで話し終えた俺に、鬼火ちゃんは冷酷に言った。
さすが、鬼ですね。
「あんまり確信をつかねいでね、鬼火ちゃん」
「役立たずを超えた存在だったね、朧木くんは」
蜻蛉さん、あんたまでそこまで言うか。
いい加減怒るよ?
今でも傷跡残っているんだよ?
男の勲章なんて言いたくないよ?
「朧木くんの役立たずーーー」
「やめようよ、鬼火ちゃん」
ちょっとさすがに傷がね。
「くくく、実に滑稽だね、朧木くん」
・・・・・・滑稽なのは蜻蛉さん、あなたじゃないか。
目的地に近付くごとに口数が減っちゃってさ。
まぁ、無理もないけどさ。
「あ、鬼火ちゃん。ここの道を登ったら目的地だよ」
「本当に!?」
鬼火ちゃんは、そう言って目を輝かせ、颯爽と道を登った。
「わあ、綺麗だね」
そう、今回の目的地。
「ちょっと速いよ、鬼火ちゃん」
目的地でもあり、安息地でもある。
「ここに座敷ちゃんが眠っているの?」
「そうだよ」
作品名:朧木君の非日常生活(13) 作家名:たし