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朧木君の非日常生活(13)

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 「それに・・・・・・舞台も整ったよ。妖、お前は今、動けないし喋りもできないだろ? 当たり前だ。ここは既に神座の舞台と化しているんだからね。直に君は消えるよ。跡形もなくね」
 蜻蛉さんの言葉に、意識を周りに移すと、そこには、無数の札・・・・・・護符とでも言うのだろうか。
 壁、床、至る所に貼り巡らされていた。
 ・・・・・・気付かなかった。
 いや、気付けなかった。
 この男はここまでも計算していたのか。
 自分の会話で相手の注意を引き、ペースを握る。追い詰められた相手は無論、周りのことなんて見えなくなる。
 俺だって周りが見えてなかったんだから、妖が見えてるはずがない。
 その隙をついて『神座の舞台』というものを完成させたんだろう。
 そう、座敷ちゃんが動いていたのだ。
 相手の隙を付き、気配を消して。
 座敷わらしだったら気配を消すことは容易いだろう。
 「神座、またの名を神楽。招魂、鎮魂を行う場所を意味する。何故、僕が藁に火を付けたのか分からなかったのかい? 火にも魔除けの作用があるからね。単体ではさほど効果を発揮しないが、相乗効果をすればいいんだよ」
 なんという。
 なんという、男なんだ、蜻蛉さんは。