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ハロウィンの夜の殺人

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ドランの言葉を無視しフローラはバッグから小さなケースを取り出した。
フローラはその中から何かを取り出すと倉庫の鍵穴に差し入れた。
奇妙な形をした鍵の様だ。
「おい、それはなんだ?」
「万能のキーよ」
フローラが取っ手を引っ張るとドアはゆっくりと開いた。
「なんでお前が倉庫の鍵なんて持ってるんだよ?」
「さっきも言ったでしょ、万能の鍵だって」
フローラは鍵を再びバッグに戻すと倉庫の中に入った。
ドランもそれに続く。
ドランが中に入るとフローラは入口をしめた。
視界が真っ暗になる。
「おい、こんな暗いところで何をするって言うんだ?」
「事情聴取よ」
そのフローラの言葉はなぜか不気味に聞こえた。
次の瞬間何かがフローラの顔を下から何かが照らし出した。
思わずドランは声を出してしまった。
「何を驚いているの」
まぶしい光がドランの顔を照らした。
それは小さなライトだった。
「さぁ、昨日のパーティー後の流れと時間を教えてちょうだい」
ドランは記憶を探りながら昨日の出来事について話した。
「なるほど、パーティー後あなたはダナエを手伝い校舎に向かった……ダナエの証言と一致するわ。その手伝いの際ダナエはあなたとずっと一緒にいたと言うけどどうなのかしら?」
ダナエが嘘の証言をした……?
俺とダナエはほとんど別々に行動していた。
なのに俺のアリバイを確保するために嘘の証言を……。
しかしなぜフローラはわざわざそれを俺に話す?
その時ドランは自分の目が宙を泳いでいることに気付いた。
しまった……!そう思った時には遅かった。
「証言が矛盾してるわね」
フローラが不気味に笑った。
「そ、そんなことはない。俺はダナエとずっと一緒にいた!」
ドランはあわてて言った。
フローラはしばらくドランを見つめた後言った。
「分かったわ、それじゃあ話を続けましょう」
ドランは銃声を聞き、ダンス・ホールで死体を発見するまでの経路を説明した。
もちろんダナエの証言のことを考えわずかに内容に変化を加えて。
「ダンス・ホールから出てきた人物は?」
「見てない」
「じゃあ、あなた達がたどり着いた時には犯人は既に逃げおおせていたと。こういうことね」
「そうだ」
「じゃあ次はパーティー後学校に残った人物を教えてくれるかしら?」
ドランはフローラに説明した。
パーティー後学校に残っていたのは以下の人物だと言う。
?ドラン(校舎の片付けを担当)。
?ダナエ(ドランと同じ)。
?ノーマン(上記の二人と同じ)。
?ミッシェル(ダンス・ホールの片付けを担当)。
?トム(ミッシェルと同じ、しかし途中で帰宅)。
?ローム(第二校舎の片付けを担当)。
?アマンダ(ロームと同じ)。
?ルシアン(上記の二名と同じ。)
?ミーシャ(上記の三名と同じ)。
「しかし夜学校に残らなくても忍びこめばミッシェルを殺せる……そうよねドラン?」
「ああ、門を乗り越えたりすればな」
「つまり学校に残った人物はさほど重要ではないわね」
フローラはしばらく考えて言った。
「ありがとう。それじゃ現場を調べさせてもらおうかしら」

ドランとフローラはダンス・ホールに戻った。
ダナエが心配そうな表情で駆け寄って来た。
「大丈夫だ」
ダナエを安心させるように言う。
「私あなたを信じてるわよ。もちろん殺人なんかしてないわよね……?」
ダナエが心配そうに訊いた。
もしドランが殺人犯ならそれをかばったダナエもそれなりの罰を受けることになる。
「当たり前だ。俺達で真犯人を暴きだそう」
「一人で現場を調べたいわ」
フローラが言った。
「分かった」
「進展があったら電報で連絡するわ」
現場をフローラに任せドランとダナエはダンス・ホールを後にした。
「私は疲れたから家に戻らせてもらうわ」
ダナエが心底疲れた様に言った。
「ああ、俺もだ。お互い頑張ろうぜ」
ダナエは笑みで応えるとドランに背を向け自宅への帰路を歩き始めた。
「全く飽きない人生だ」
自分の運の悪さをバカにした様に短く笑うとドランも自宅への帰路を歩き始めた。

ドランが帰宅するとすぐさまクレアが駆け寄って来た。
「ドラン……!まさかあなたが逮捕されるって本当……!?」
その目はショックで泣き腫らしたのか真っ赤になっていた。
「そんなわけないだろ」
その体を優しく抱いてやった。
「よかった……」
クレアはドランの胸に顔をうずめた。
「心配してくれてありがとよ。クレア」
クレアはゆっくりと顔を上げるとドランの言葉に笑みで応えた。
「でも私てっきりあなたが逮捕されるものと……」
「逮捕はされたさ……だが救世主が俺を救ってくれた」
クレアは黙ってその先を待った。
「幼馴染のフローラだ」
「ミス・フローレンね。以前あなたに聞いたことがあるわ」
「フローラの奴突然現れると俺を連行しようとした警部達をすぐに黙らせてしまった。あいつかなりの名探偵だぜ」
「良かったじゃない。それよりお腹減ってるでしょ?」
「ああ、めちゃくちゃ」
「なら、早く!」
クレアに手を引かれドランはダイニングルームに向かった。
クレアに手を引かれながらドランは思った。
やっぱまだ子供だな。
自分で考えて、なんだかおかしくなってドランは笑ってしまった。
「何笑ってんの?」
クレアが怪訝そうな顔で言った。
「なんでもないよ、さあ飯を作ってくれ!」
ドランは席に着いた。
作品名:ハロウィンの夜の殺人 作家名:逢坂愛発