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ハロウィンの夜の殺人

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弾丸に額を貫かれ、ミッシェルの体が痙攣した。
そしてイスにもたれ……死んだ。
ざまあみろ。
「ざまあみろクソ女!私の勝ちだ!」
私は下品な笑い声を上げた。
その時私はミッシェルが首にペンダントを付けているのを見た。
記憶によればその中は……。
ケースを開けるとやはりそこにはスミスと共に移るミッシェルの写真があった……。
幸せそうに笑いやがって……。
私はペンダントを床に叩きつけようとした。
その時誰かの足音が聞こえた。
私は急いでペンダントをポケットに滑り込ませると拳銃をテーブルに置き裏口へ走った。
素早くドアを開け静かに閉めるー。
その時誰かがダンス・ホールの中に入って来たのが分かった。
「おい……嘘だろ……」
「ミッシェル……!」
ドランとダナエだ。
なんてタイミングの悪い……。
私は焦りから走り出した。
足音を聞かれるなんて考えなかった。
それよりも早くこの場所から離れたかった。
幸い死体を発見したショックで動転したのか二人が私に気付き追ってくることはなかった。
その時私は何かに足をとられて転んでしまった。
その拍子に腕時計が外れてどこかに転がって行ってしまった。
私は探そうとしたが見つからなかった。
「クソ……」
私は毒づくと再び走り出した。
徐々に裏口が見えてくる。
もうすぐ……もうすぐだ……!
ドアを抜けるとそこは大通り。
そして叔父さんの姿が……。
「なんとかやり遂げたようだな」
叔父さんが笑いかけてくる。
「ええ、あの女情けない顔で死んだわ……ふふっ」
あの時の滑稽な顔が忘れられず私は笑いをこらえることが出来なかった。
私が笑い終わると叔父さんがビールの入った袋を渡してきた。
中の伝票を確認する。
私のアリバイは完ぺきだー。
「ありがとう」
私はコートと帽子を脱ぐと叔父さんに渡した。
そして再び第二校舎へと向かう―。

これで全てが終わった―。
あとは叔父さんがきちんと手配してくれるはずだ。
もう私を苦しめる物はない。
そう、私とスミスの邪魔をする物も。
ダナエくらいすぐに始末出来るわ。
そう、ミッシェルと同じようにね……。
私はベッドに仰向けになり今日の出来事を回想していた。
校舎に戻った私はローム達にビールを渡すと作業に戻った。
その直後みんながダンス・ホールに集まった。
ミッシェルが殺されたからだ。
警察が遺体を調べていた。
急な出動だったためか大した人数はいなかった。
周りに集まったみんなは口々に憐れみの言葉を投げかけた。
もちろん私も。
そして私はショックを受けたフリをして自宅に戻った。
そして今に至る。
ふと睡魔に襲われ私は眠りに落ちた。

あの日から今日まで学校は休みだ。
事件から二週間。
今日の日付は11月 15日。
あれから簡単な事情聴取があっただけだった。
それも叔父さんがアリバイを作ってくれたおかげで問題なくクリア出来た。
それからまったく警察から連絡はなかった。
もう私は疑われていない……。
そう思った、だが今日、私はあの場所……ダンス・ホールに呼び出された。
そう、容疑者として……。

もう終わった……。
気がつくと私は床にへたり込んでいた。
目の前にいる探偵らしき女は私の日記を手に何やら語っている。
もう何もかもどうでもいい……。
何も考える気にならなかった。
突然叔父さんが恐ろしい形相で私に向かってきた。
そうか、叔父さんもバレたんだ。
恐怖は感じなかった。
この場で叔父さんに殺されてもよかった。
しかし、私に到達する前に叔父さんは探偵に足を払われて床に倒れた。
そして探偵は叔父さんの目の前にステッキを突き出しこう言った。
「本性を現しましたね。では以上の証拠によりあなたを犯人と宣言します……フィリップ警部」
叔父さんもこれで終わりだな……。
そう思った時叔父さんが怒りの雄たけびを上げて何かを取り出した。
拳銃だ。
銃口は私に向けられている。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ああ、私死ぬんだ……。
恐怖も何も感じなかった。
ただその瞬間を待つだけ……。
さあ、引き金を引いて……。
その時ドランが叔父さんに飛びかかった。
拳銃を奪おうとその腕を掴む。
しかし訓練を受けている叔父さんはすぐにドランを床に叩きつけてしまった。
「図に乗るなよガキがぁ!」
叔父さんは銃口をドランに向けた。
クレアちゃんが悲鳴を上げた。
かわいそうに。
だけどその言葉が頭の中に浮かんだだけ。
ドランが死んでも別に私はなんとも思わないわ。
その時探偵が後ろからステッキで叔父さんの後頭部を殴り付けた。
叔父さんがよろめく。
「今よ!」
探偵の言葉を合図に周りにいた警官が叔父さんに飛びかかり押さえつけた。
「ちくしょう!」
叔父さんはしばらく暴れていたがすぐに連行された。
「行くぞ」
「ええ……」
警官に言われ私は力なく立ち上がった。
クレアちゃんの助けを借りて立ち上がりながらドランはこちらを見ていた。
「アマンダ……」
悲しげに呼びかける言葉を無視して私は歩き始めた。
警官が車のドアを開けて待っている。
それは昔見た叔父さんの動作に似ていた。
私を乗せようと車のドアを開けて待っている叔父さん。
その顔は優しく微笑んでいる。
「今行くよ叔父さん」
私は叔父さんの車に乗り込んだ。
作品名:ハロウィンの夜の殺人 作家名:逢坂愛発