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日向に降る雪

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日向に降る雪


 しかし、彼の二次元に対する愛は本物だった。なんと、それから数日が過ぎた頃、早坂はついに二次元へと移転したのである。
 彼から最後のメールが届いているのに気づいたのは、既に彼が行ってしまった後だった。
「小日向よ。君と過ごした10年と少し、本当に愉快だった。僕は心底感謝しているぞ。さらばだ、心友」
 この喪失感と淋しさは多分、様々なことのあった秋が終わり、冬という季節を迎えたせいに違いない。断じて、やつがいなくなったからではない! 電話もメールもつながらず、下宿先にも研究室にもおらず、それでも必死に探し回ったあげく、学内で偶然出会った天野さんがちょっぴり憂いを帯びた顔で「さみしくなりますね」と言ったときに、私の目をじわりと滲ませたものが涙であろうはずがないっ!! 嬉し涙……という可能性は否定しない。あのバカが。
作品名:日向に降る雪 作家名:彩月空